【ブログ】ジェイソン・ムラーズ:「地球温暖化は未来ではなく、まさに今の問題」

ギャラガー姉妹 (SH)
2012年の2月、スーパーボウルが開催された翌日、アルゼンチンにある世界最南端の都市、ウシュアイアからアメリカへ戻っている時に僕は悟った。


このような素晴らしい、俯瞰的な経験をしたのは初めてではなかった。この瞬間は思考や計算が減り、ただそこにあるものを受け入れるような感覚だ。全ての事象は繋がっているということ、そして自分は自分でしかなく、全ては全てであるということだ。

最初に悟りを開いたのは、ニューヨークのバスタブの中だった。いきなりタブを取り囲む全てのタイルがどのように生まれ、埋め込まれたのかを理解した。そして地下から23階の僕の家まで水を引き込んだ配管工事は、配管工事が好きな人、または家族を愛する人だけが成し遂げることができる作業だということを理解した。バスルームの全ての細かい部分は、創造によって生み出された誰かによる創造なのだということを理解した。物質主義の世界から物質主義的な意識が消え、ただ全ての物質が自分の存在の延長上にあるものだという認識を持つことが出来た。ただし、僕のこの意識は、考えたり、計算したりすることで得たのではなかった。これは単純明快に自然に存在する意識の流れのようなものだった。そして僕はわけもなく涙を流した。最後にバスタブの水は下水へと流れ落ち、バスタブの水に濡れた僕は、ちょっと前に起こった悟りを理解し、維持しようという気持ちに捉われていた。

アマゾンの熱帯雨林の上を飛んでいた飛行機の中での経験も同じだった。私は全てのシートの縫い目が完ぺきに縫われていることを理解し、空圧が調整されたキャビンがタイトに、そして流れるようにデザインされていることに驚き、飛行機はエンジニア、兄弟、夫、息子、などありとあらゆる人達の手と心によって触発されたアートなのだということを意識した。そしてその作品の中にいる私には、私達の生活を甘美なものにし、同時に私達を死に至らしめている物質も見えてしまった。これが悟りの負の部分というわけだ。

その時の僕はアル・ゴア氏と、148人の環境保護主義者、科学者、研究者、企業家たちと一緒に地球環境の厳しい変化について学ぶため、南極大陸から自宅へ戻るところだった。地球のエアコンである南極大陸は、地球温暖化に対して警告してくれる存在だ。南極の気候が変化しているのであれば、地球のその他の部分も一緒だということだ。簡単にいえば、南極大陸の氷が溶け、海へ落ちれば、海抜が上昇する。そして海抜が上昇すれば、高潮、沿岸部の洪水、そして多くの人々の飲料水が汚染されるという現象を引き起こす可能性があるというわけだ。

地球温暖化は未来の問題ではなく、今抱えている問題だ。そしてこれは地球の問題なのではなく、人間の問題だ。開墾、工場方式の農場、化石燃料や石炭の燃焼は環境を破壊し、地球に拡散した温暖化の原因となっている。僕達の生活を甘美に、そして便利にするために自分達が生み出した工業化というシステムは、残念なことに永遠のものではなかったのだ。その証拠は、僕達の周りを見渡せばすぐに目にすることが出来る。例えば、何億人もの人達が飲料水のない生活を送っている。そしてそれ以上の人達が飢餓に苦しんでいる。決着はついていない。そして状況は年々おかしくなっていくばかりだ。

天候の危機について学んだ後、僕はそれらに対して深く考えながら飛行機に乗っていた。その飛行機に乗ることが燃料の需要に貢献してしまうこともわかっていた。もう飛行機には乗らない方が良いのだろうか? 電力飛行機や再利用可能な燃料を使った飛行機に乗れば良いのだろうか? しかしこれらはまだ実現化されていない。

飛行機の中でフルーツカクテルの大きなボウルがサービスとして出てきたが、見ただけで気分が悪くなった。このフルーツはどこから来たのだろう? ビジネスクラス用としての新鮮さを保つために、どれだけのエネルギーや化学薬品が使用されたのだろう? 抑制と均衡のシステムは用いられているのだろうか? 僕が乗っていたのはどの航空会社だったのかは覚えていない。映画をもっと充実させてほしい。このやるせなさにもう耐えられそうもない。

アメリカは現在、炭素に関して税金がかかっていないし、責任感を持って生きていくというプレッシャーも存在しない。自分で探さない限り、オプションはあまりない。実際のところ、自分のフライトを快適にするために、僕は複数の会社に対して高額を払っているということになるし、フライトアテンダントは僕に、水の入ったペットボトルを持ってくる。このようなサービスは断れる。そして断っているとき、僕は全員がそれぞれ動けば、天候の危機に対応していくことができることに気が付いた。

全てが消耗品だというのであれば、僕達も消耗品だということになる。使い捨てのプラスティック製品、ビニール袋、ペットボトル、スプーン、紙製のコーヒーカップ、そしてそのカップに付ける段ボール製の保温カバー。これらは全て代替がきく。自分のペットボトルを持ち歩いて、水道水を飲めばよいし、自分用のコーヒーカップを持ち歩いて、リフィル(詰め替え)してもらえばいい。これによってかなりのエネルギー、そしてお金をセーブできるはずだ。

文明を何千年にも渡って維持してきた先進国(ヨーロッパ各国)に行けば、持続性という考えがすでに、そこに住む全員に根付いていることがわかるだろう。その長い歴史に適した姿だと思う。製品は自国で作られ、食物もしっかりと育てられ、自国で販売されている。しかしアメリカでは、ほとんどの製品が中国製で、壊れやすかったり、旧式だったりする。そしてガソリンを積んで輸入車を乗り回し、それによって借金を抱え、ガンになり、常に戦争をしかけていく。"資本主義は最高"というわけだ。

話がそれてしまった。今回のコラムはもともと、南極大陸までへの短い旅行記になるはずだった。ウシュアイアには毎年4万人が訪れ、旅行者のリピート率が世界1位の都市でもある。その理由は自然の美しさと、隔離された空間にあるのだろう。自然の中にいると、僕達は自分達の本来の姿に気づかされる。自然とは地球の一部なのだ。そしてそれは宇宙の一部でもあり、私達人間が何億年もここに暮らしてきた、そして今よりも賢く暮らしてきたということを思い出させてくれる。


(原文:Global Warming Is No Longer a Future Problem, It's a Now Event)
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ジェイソン・ムラーズ
シンガーソングライター



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