暴れん坊将軍に敬意を払ってサンバで江戸博に行ってきた

工藤考浩

さて皆さんは、江戸東京博物館に行ったことがあるだろうか。
東京で育った人は、社会科見学かなにかで子供の頃に行ったかもしれないが、ここは大人になってから行った方がずっと楽しいと思う。
僕もこれまで、何度も訪れている。
今回は、現在開催中の特別展「花開く 江戸の園芸」を、学芸員の解説付きで案内してくれるということで、喜び勇んで江戸博(「エドひろし」という名の演歌歌手ではなく、江戸東京博物館の略称だ)へと向かった。


まずは常設展示を見学。
入場するなり現れるのが、1分の1スケール、つまり実物大の「日本橋」だ。



もちろん実物ではなく、1806年(文化3年)と1819年(文政2年)に架け替えされた際の記録を元に日本橋の北半分を復元された物だ。
復元といっても、ただ同じ形に作ったわけではなく、素材選びや表面の仕上げ方にまでこだわって、再現されているのだ。
さらに、橋の欄干には当時使われていた擬宝珠(ギボシ)も復元されている。
このギボシが江戸東京博物館のマスコットキャラクター「ギボちゃん」になっている(公式Twitter)。

と、館内に一歩踏み入れただけで、山ほどトピックにあふれている。
見学の際は半日くらい時間を見ておいたほうがいいだろう。
ちなみに僕の場合いつもは、館内のレストランでご飯を食べつつ、たっぷり1日楽しんでいる。
今回も展示を一点一点じっくりと見学したいところだが、今日は時間が限られるので、駆け足で進もう。



この江戸東京博物館、冒頭で大人の方が楽しめる、と書いたが、楽しみの一つが模型の精巧さだ。



最近の博物館はどこも模型展示に力を入れているが、ここ江戸博はクオリティーが特に高いと思う。
細かいところまで精巧にできていて、それを見ているだけでとても楽しい。



たとえばこの「松の廊下」なんて、"かもい"の飾りまでリアルだ。
そしてこちらの同潤会アパート。



屋上の洗い場まで再現されていて、もうキュンときちゃう。
ほかにもたくさんの模型があり、見ているうちに当時の世界に、本当に吸い込まれてしまうのだ。




まだまだ見ていたいところだが、特別展「花開く 江戸の園芸」を案内してもらう時間が来てしまった。
"世界がビックリ! 江戸のガーデニング"とサブタイトルがつけられたこの特別展は江戸東京博物館の開館20周年を記念して開催されるものだ。
実をいうと、当初この特別展のテーマである「江戸」と「園芸」のつながりにイマイチピンとこなかった。
江戸の人々も植物を愛でていたんだろうな、ということは想像できるが、それがどれほどのものだったのか......。
でもその疑問は、展示室に入ってすぐに解消した。



展示の"序章"として紹介されているのが、1860年に植物調査のため英国から派遣された植物学者ロバート・フォーチュンのエピソードだ。
フォーチュンは来日し、日本人が身分を越えて「花」を愛していることに大変驚き、著書『幕末日本探訪記―江戸と北京』に「日本人の国民性のいちじるしい特色は、庶民でも生来の花好きであることだ。花を愛する国民性が、人間の文化生活の高さを証明する物とすれば、日本の庶民は我が国の庶民と比べると、ずっと優ってみえる」と記しているのである(Wikipediaより)。
フォーチュンは植物学者であり、また世界中の植物を探して商売をする「プラントハンター」でもある。そんな、ある意味においてはビジネスマンであるフォーチュンを「日本人の文化度の高さ」で驚かせるほどに、江戸の人々は生活のなかで、花や草木を愛でていたのだ。


<なるほど、江戸の人は花が好きだったんだな>

僕なんかは、イギリス人やフランス人の方が花好きで、花束なんかを女性にプレゼントしたりして、なんて思っていたが、解説してくれた学芸員の市川寛明さんによると、当時のヨーロッパよりも江戸の方がよっぽど草花に対する親しみは深かったのだそう。


<解説してくれた江戸東京博物館学芸員 市川寛明さん>

へぇ、と思いながら展示を見てゆくと、なるほど、江戸の庶民と園芸との関わりの深さを知ることができる。


<そうか、菊人形も江戸の文化だ>

まず、庶民の間でブームになったのが「松」だそうだ。たしかに各地に「松」の名の付く地名が残っている。
そして、徳川吉宗(暴れん坊将軍でございますね、マツケンの......)が江戸市中各所に桜を植樹したことで、お花見が人気のレジャーとなるのだ。
さらに、錦絵(浮世絵版画)が普及し、それを利用して花の名所が「広告」を出すことで、ブームは加速してゆくのだ。
このへん、現代のいろいろな「○○ブーム」と何ら変わらないではないか。


<今は高層ビル群がある西新宿、十二荘にあった茶屋が作った「広告」ではないかという錦絵。>

また、植木鉢が庶民に普及したことで、家庭で草花を栽培して観賞するという文化も生まれた。



これも、新商品が安価に提供されて生活スタイルが変わっていく現代となにも変わっていない。歴史はぐるぐる回りながら進んでいるのだなあ。

ところで、江戸の花見文化に大きな貢献を果たした徳川吉宗公に敬意を払って、必要も無いのに「マツケンサンバ」的な衣装を着てきたわけだが、この日は女性ブロガーさんたちも一緒に見学していて、こちらとしては大変恥ずかしかった。



という感じに、次から次へと知らされる江戸と

園芸のトリビアに、「なるほどははぁん」とうなずきながら、展示をじっくりと楽しんだのだが、この続きは皆さんも実際に足を運んでご覧になってください。
たぶん絶対楽しいので。


<トリビア満載で楽しいぜよ>

ちなみに江戸博では、開館20周年を記念して、20歳の人は20円で常設展も特別展も見られる「20歳のあなた!20円で江戸東京博物館を楽しんじゃおう♪」キャンペーンを開催中だ。
尋常じゃないくらいお得なので、ハタチの人は行かない手はないだろう。
僕もハタチに戻って20円で見たいものだ。

(工藤考浩)

【参照リンク】
・『江戸東京博物館』公式サイト
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/

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