打者走者の守備妨害でゲームセットという、にわかに信じがたい終戦を迎え、しかもその試合直後、主将・鳥谷のメジャー挑戦までもが明らかとなり、熱狂的なファンも含めて、すっかり意気消沈といった様子の阪神タイガースだが、そうした中、負けこそしたものの、今回の日本シリーズにおいては、来季へとつながる光景が続出したことも事実だ。その典型が、自慢の守備で何度もファインプレイを連発した大和である。



たとえば敵地で迎えた第3戦、制球難を攻められて初回から苦しい投球を続けていた若きエース・藤浪を援護したのは、4回裏に飛び出した大和のファインプレイであった。2アウト、ランナー2・3塁からの場面で、ソフトバンクホークスの主砲・内川の放った鋭いライナー性の打球は、センター・大和の前へと一直線。普通なら自分の前で落として、無難に処理するところかもしれないが、大和は懸命に前進してこれをダイビングキャッチ。ワンサイドゲームになりかねない分岐点で見せた執念のファインプレイは、まさに値千金と言うに相応しいものであった。

【動画】http://youtu.be/1-fuwttX6Ho


また、後がない状態で迎えた 第5戦、大和は3回裏、2アウト、ランナー2・3塁の場面で、ソフトバンク・明石の放った浅いセンター前の打球を、これまた猛スピードでダッシュしてのダイビングキャッチ。1球1球に全力で食らいついていくその姿勢は、先発・メッセンジャーを奮い立たせた。

【動画】http://youtu.be/SCRZZUeqcWI


そして、同じく第5戦の6回裏、疲れの見え始めたメッセンジャーを、再度奮い立たせたのも、やはり大和のプレイだった。2アウト、ランナー2・3塁の場面で、中村の放った打球はセンターの頭上を越えそうな鋭い大飛球。しかしこの時も大和は、落下点目掛けて一心不乱に背走し、見事にキャッチ。俊足の大和が、一切無駄のない動きで全力疾走したからこそなせるそのプレイは、まさにスーパープレイそのものであったと言える。

【動画】http://youtu.be/WaQQAOOntZU


リーグ2位からの下克上での日本シリーズ優勝を目指した阪神タイガース。それを期待していたファンにとっては、あっけないその幕切れと、敵軍の胴上げを見守ることは、さぞや悔しいものであったに違いない。しかし、今シリーズで見せた大和のプレイのような、勝利に懸ける執念があれば、来季こそは、必ずやその巻き返しを期待できることだろう。

文・吉竹明信