「イケてなさ」もモチベーションに  Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)が「ヒップホップで人生を変えた」理由とは

高木 "JET" 晋一郎

10代より数々のラップ・バトルに参戦し、般若や鎮座DOPENESSなどの猛者が優勝者として名を連ねる、日本有数のMCバトル大会「ULTIMATE MC BATTLE」において前人未到の3連覇を果たすなど、現在のラップ・シーンを代表する存在となっているR-指定。
現場でのDJ活動と共に、HilcrhymeのTOCのライヴDJや、SKY-HIやサイプレス上野などを迎えたプロデュース・アルバム「サーカスメロディ」を制作するなど、多角的な活動を展開するターンテーブリストのDJ松永。
20代前半ばにして確かなキャリアを築きつつある二人が、タッグを組んだユニットがCreepy Nutsである。


既に上記のようなお互いのスキルを武器に、ヒップホップ系だけではなく、ロック系やミクスチャーなイヴェントなどにも参戦し、数々のライヴを沸かしている彼ら。大阪出身のR-指定と、新潟出身のDJ松永が出会ったのは、DJ松永が19歳、R-指定が18歳と、互いにティーン・エイジャーだった時分だったという。

「ハタチ以下ぐらいで活動してるアーティストが集まるイヴェントが大阪であって、その時に初めて松永さんに会ったんですよね。最初の印象は『あ、こいつダサそうやな』って(笑)(R-指定)」
「俺も『こんな俺でも勝てそうな奴だな』って。お互いにお互いのことを下だと思ってるから接しやすかったんでしょうね(笑)(DJ松永)」
「当時はお互いに童貞やったし、それで意気投合して(R-指定)」
「その時点ですでにソウル・ブラザーだったね(DJ松永)」

......と、なんとも屈折した関係性で結びついていった二人。

「徐々に僕も東京にライヴで呼ばれる機会が増えてきて、その時に、東京に住んでる松永さんの家に泊まらせてもらったりして、より関係が密になっていって。そんな中で、僕が当時組んでたグループ:コッペパンが一旦休止して、ソロとして活動することになったんですね。その時に、松永さんから『一緒に組もうか』って声をかけて貰って。それが2012年でした(R-指定)」
「グループでのライヴはメチャメチャ盛り上げてたRが、ソロになったらかなり滑ってたんですよ。ライヴ中に『あいつ大丈夫か?』って周りがザワザワするぐらい(笑)(DJ松永)」
「ちょっと病んでた時期だったんですよね。グループも動かなくなるし、まだ『ULTIMATE MC BATTLE』でも優勝出来てなかった時なんで。ライヴに一人で出ても『なんか笑われてるんじゃないか......?』って思い込んじゃって、マトモに人前に出れなくなってて(R-指定)」
「『出来る奴のはずなのにおかしいな』と思ったし、俺がバックDJをやれば、もっとスムーズなライヴが出来るかなって思って声をかけたんですよね。俺としても、いわゆる普通のDJよりも、ライヴのDJをやりたいっていう欲求もあって。というか、普通のDJがちょっと苦痛になってたんですよね。現場/クラブのDJの人って、やっぱり人を盛り上げるのが重要だから、基本的にネアカな人が殆どなんですよ。だけど、僕は根本的にネクラで。でも、そういう部分を隠しながらDJやってたんですけど、ラッパーなのにネクラなR-指定に出会って、そういう暗い部分がどんどん引き出されて、どんどんDJで現場を盛り上げる事がプレッシャーになっていったんですよね。『俺、ホントはこんな盛り上げるようなタイプじゃないのに......』って(笑)(DJ松永)」
「『お前はそっちやない!』って泥沼に引き込んだら、俺よりメンタルが化物だったことが判明して(笑)(R-指定)」
「代官山の名のあるクラブでレギュラーとかもやってたんですけど、『すみません......もう盛り上げるの限界です!』って辞めさせてもらって(笑)(DJ松永)」

そういった「イケてなさ」や「ルサンチマン」のような部分は、R-指定"使えない奴ら"や、DJ松永のアルバムに収録されたスクール・カーストとそこへの放棄と蜂起をテーマにした"トレンチコートマフィアfeat.R-指定"などで、楽曲として描かれることになる。

「高校の時はみんな音楽聴いてるって言ってもExile、倖田來未、西野カナって言う感じで、音楽の話が通じる友達もほとんどいなかったんですよ。それで、高校にいるのがスゴいムダのように感じちゃって、バイト代でターンテーブル買ってDJに集中するようになって、学校は辞めちゃいましたね(DJ松永)」
「俺も『周りに合わせないと』とかっていうよな、同調圧力と焦りをすごく感じてて。だから、学校外で梅田サイファー(註:梅田駅付近で行われているラップ・サークル。街角で行われている)に参加したりして、自分を保ってる部分がありましたね。そうやって、俺だったらラップ、松永さんだったらDJっていう、表現欲求や自意識を満たしてくれるモノがあるったから、自分を認められるようになったけど、それが出来る前は結構キツかったし、その記憶が、曲に反映されてる部分があると思う。RHYMESTERの宇多丸さんもおっしゃってたんですど、生活としてはゲットー育ちでもなんでもないけど、劣等感や疎外感っていう、『心のゲットー』が僕らにはあると思うんですね。そういう負の感情を消化するために、ラップしよう、DJしよう、曲を作ろう、自分のまま戦おう、と。その上で、そういうネガティヴをポジティブに変換して表現する方法もあるけど、ネガティヴをネガティヴのまま出すのも、日本語ラップのアートの一つやなって。自分の情けない部分や、イタい部分を出してしまって、『でも、それもアイデンティティや』って開き直って武器にするのも、自然な戦い方だと思うんですよね。松永さんもそういうメンタリティやったし、Creepy Nutsはそこが合致してるんだと思います(R-指定)」


そして、8月には初のシングルとなる「刹那」をリリースした彼ら。タフでドラマティックなビート併せて、ヒリヒリするようなバトル前の心境を描き出し、ファイト・ミュージックとしての側面も押し出した一曲だ。

「R-指定のバトルMCとしての部分の精算ですね。これからは自分たちのメンタリティを、作品として表現する段階に来たと思ってるんですね。だから、バトル=R-指定っていうイメージに沿った作品を書くことで、そこにバトルMCとしてのイメージに落とし前をつけるというか。バトルは自分のアイデンティティの一部でもあると思うし、バトルの酸いも甘いもずっと味わい続けてきて。その上で去年の「ULTIMATE MC BATTLE」で三連覇したからこそ、ここでバトルの事を書こうと思ったんですよね。それに、こういう真正面からストレートなヒップホップを書くのは、一つの山だと思ったし、この山をしっかり越えれば、これからどんな作品を作っても、ブレずにヒップホップでいられると思って。だから、最初のシングルでこのテーマで形にしたかった(R-指定)」
「いま制作している、これからのCreepy Nutsの作品からすると、かなり異質ではあると思いますね。これからの曲は、もっと『アップ・テンポに情けない感じ』だったりする曲もあるんで(笑)(DJ松永)」
「これからはもっとライヴも増やしていきたいですね。喜んでもらえたり、ヤバいって言ってもらえることをやりたいんですよね。単純に(R-指定)」

https://youtu.be/IXoFWdAiq2g


https://youtu.be/Fetbrk12oZ4


■参照リンク
Creepy Nuts オフィシャルページ
creepynuts.com

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