2億4000万円の懸賞金がかけられた最凶ギャングの素顔とは?【映画『ブラック・スキャンダル』集中連載⑨】

AOL News Staff

最終回:懸賞金2億円超え!2つの顔を持つ犯罪王バルジャーの素顔!

ジョニー・デップが実在するギャング、ジェームズ・"ホワイティ"・バルジャーを演じ、ジョエル・エドガートン、ベネディクト・カンバーバッチと三つ巴の演技バトルを披露する、実話を基にした『ブラック・スキャンダル』が、1月30日(土)から全国ロードショーとなる。

AOL Newsでは、『ブラック・スキャンダル』の首謀者"バルジャー"特別捜査班を編成、"アメリカ史上最大の汚職事件"を描いた本作を9週にわたって検証してきた。

【第一回】全員ワル!FBIも恐れたバルジャー率いる地獄のギャング集団「ウィンターヒル"ギャング」

【第二回】実録!米史上最大の汚職を招いたFBI捜査官とギャングの「秘密の協定」

【第三回】ベネディクト・カンバーバッチ、史上最悪の犯罪王の弟で若き政治家を熱演「俳優としてやりがいがあった」

【第四回】ダコタ・ジョンソン、女子大生愛人の次はギャングの「極妻」!裏の顔を持つ男とのタイマン演技

【第五回】ギャングと「秘密の協定」を結んだFBI捜査官に隠された野望とは?

【第六回】正義漢だった夫が悪に染まっていく!FBI捜査官の妻の目に映った恐るべき「秘密の協定」の真相

【第七回】「俺に賄賂は通じない」ギャングとFBIの史上最悪の汚職に鋭く斬り込む連邦捜査官とは?

【第八回】裏切者には死あるのみ!マフィアが「コトを起こすとき」の5つの流儀

最終回は、FBI最重要指名手配犯として、2億円を越える懸賞金を掛けられたバルジャーを再検証。全米史上最悪の犯罪スキャンダルを起こした犯罪王の素顔の先に浮かびあがるのは...。


バルジャー(ジョニー・デップ)は、大恐慌の嵐が吹き荒れた1929年、米ボストンでアイルランド系移民の子として生まれた。6人兄弟の2番目で、ケネディに影響され政治家を志した弟ビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)は、マサチューセッツ州上院議員、州議会議長もつとめる大物政治家となった。

ストリートの悪童バルジャーが初めて逮捕されたのは14歳の時。その後1959年から63年までは通称"ザ・ロック"、アルカトラズ刑務所に収監されていた。CIAによる向精神薬LSD投薬実験に志願し54日間刑期を短縮された。65年に出所した後、母と共に低所得者向けの公営住地宅に住み、南ボストンのサウシーと呼ばれる地域でアイリッシュたちを集め、"ウィンターヒル"ギャングを結成。勢力を拡大するバルジャーたちの最大の敵はイタリアン・マフィアのアンジュロ・ファミリーだった。


1975年、敵対組織からのマークが厳しくなる中、バルジャーに憧れて育った幼馴染みのFBI特別捜査官ジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)がボストン支局に着任、弟ビリーを介してバルジャーとの秘密の協定を申し出る。敵対するマフィアの情報を提供することで、自分たちが安泰になる。密告ではなく、ビジネスとしてこの協定を結んだバルジャーは、コノリーにアンジュロ・ファミリーを逮捕させた後、破竹の勢いで勢力を拡大していく。

バルジャーは、麻薬取引、恐喝、マネーロンダリング、殺人などありとあらゆる凶悪犯罪を実行し、法の裁きを逃れ犯罪帝国を築いていった。最も残忍なギャングと言われ、ウサマ・ビンラディンに次ぐFBI最重要指名手配犯として約2億4000万円もの懸賞金がかけられ、10年以上の逃亡生活を経て、ついに2011年に逮捕された。


バルジャーには、2つの顔がある。

家族、地元サウシー住民には異常なまでの愛情をもって接する。街から麻薬を一掃するために、麻薬密売者の敵というイメージを地域に浸透させ、ロビンフッドのような存在として愛されていた。マーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』(06)で、ジャック・ニコルソンが演じたフランク・コステロはバルジャーをモデルにしていた。彼のエピソードの中で、店から金を巻き上げる一方で、近所の子どもに袋に溢れるほどの土産(その店の売り物)を買い渡すコステロの姿をご記憶の方も多いのではないだろうか。

裏では、自動販売機の利権を独占、恐喝、競馬、宝くじ、闇賭場などのギャンブルと金貸し、更にドラッグ密売にまで手を伸ばした。冷酷なバルジャーは、邪魔者は黙らせることを徹底した。沈黙させるために、少なくとも11件の殺人事件に関与したといわれている。

コノリーとの密約と邪魔者は黙らせるという鉄則でのし上がったバルジャーには、2つの転機があった。愛人リンジーとの間に生まれた息子ダグラスと母の死だ。酒も煙草もやらず、日々体を鍛え、生涯独身を貫いたこの男は、肉親との別離によって更に冷血漢となっていく。16年にも及ぶ逃亡生活に入る直前まで、バルジャーはアイルランドの統一を目指す組織IRA(アイルランド共和軍)を支援、親たちの祖国で戦う人々をサポートし続けていた。敵に対する冷酷と同胞に対する愛情、この二面性こそバルジャーを紐解くカギなのだ。


アメリカは移民の国。海に面したボストンに漂着した人々にとって、そこは戦場だったに違いない。世界恐慌で荒れ果てたボストンで、ギャングとして闇社会に君臨したバルジャー、兄の行為を「関係ない」と黙認し続けた大物政治家の弟ビリー、二人への忠誠を通して悪に染まったFBI捜査官コノリーは、自分の流儀を貫いて頂点を目指した。彼らの姿は、終戦直後の荒廃した広島を舞台に、壮絶なヤクザたちのサバイバル戦争を描いた実録映画の傑作『仁義なき戦い』(73)にも重なる。

そして、クリント・イーストウッドの『ミスティック・リバー』(03)、スコセッシの『ディパーテッド』(06)、ベン・アフレックの『ザ・タウン』(10)など、ボストンを舞台に悪玉を描いた作品には傑作が多い。その理由は、過酷な生存競争の中にうごめく人間の素顔と業を見事に描写し、白と黒では割り切れない「アメリカの闇」を浮かびあがらせているからに他ならない。ボストンを舞台にした新たな傑作『ブラック・スキャンダル』には、実録映画ならではの凄みが満載されている。


原作「ブラック・スキャンダル」 ディック・レイア&ジェラード・オニール 訳:古賀弥生角川文庫より発売中

映画『ブラック・スキャンダル』は、2016年1月30日(土)より、全国ロードショー!

■公式サイト:www.black-scandal.jp

■ハッシュタグ:#ブラックスキャンダル



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