第64回カンヌ国際映画祭特集 オフィシャルセレクション20作品紹介

コンペティション部門から20作品をご紹介。あなたの予想は?大注目はやっぱり日本作品?
あらすじをみてみよう


Bir Zamanlar anadolu'da(トルコ) 
あらすじを読むと、急に不安になる。2時間37分の間、とある村で何も起こらず、毎日が変わりなく過ぎてゆくという物語。死ぬほど退屈することは間違いなし。かなり危険な挑戦だけに、監督の腕が確かであることを祈りたい。鬱気味だったら、観ない方が良い。

Drive(アメリカ) 
マフィアに雇われ、めちゃくちゃ早くクルマを走らせる男の物語だ。良いアドバイスをしよう。古いPS1を引っ張り出し、98年版の「ドライバー」ゲームを挿入すれば、同じくらいからっぽなストーリーが展開されるよ。まあ、ゲームの場合、自分が運転できるけどね...冗談だよ!ニコラス・ウィンディング・レフンは3部作の『プッシャー』で観客をあっと驚かせた名監督だ。その辺は確かだ。彼に『ワイルドスピード』を撮らせたら、来年のアカデミー賞は確実だ。

Habemus papam(イタリア) 
監督、ナンニ・モレッティは幾度も観客を驚かせたことがある。だからローマ教皇の後を継ぎたくない男の物語にはかなり期待ができる...精神科医の役を自ら演じるナンニは見ものだ。ローマ教皇の後継ぎにまつわる恐怖心は、イタリアのような国では一大事だし、その原因はとても知りたい。

朱花の月(日本)
しまった!あらすじを全く理解できなかった。最も、河瀬直美監督の場合、映像抜きでは何も語れない...大丈夫、欧米の評論家たちは作品を理解できなくてもそんなことは言えないだろうし、ただただ美しい、素晴らしいと思うに違いない。まだ日本に勢いがあるうちに得をしよう!

Hearat Shulayim(イスラエル) 
仕事で自分より才能を持つ息子にフラストレーションを貯める父親の物語。大概、逆のパターンが多いから、人間嫌いの主人公の人生が遅くして周りから認められることによって、覆されるという話は面白いかも。

一命(日本) 
どうやら我が反抗的な監督は、『牛頭』時代から卒業したようだ。大河ドラマ流の正統派路線に万歳。でも、そんな三池は正しいかも。複雑なシナリオ、復讐劇、そして浪人のストーリーはカンヌで受けるはず。少なくとも、ユマ・サーマンは気に入るだろう...これで、三池崇史に一票!やった!

L'appollonide-souvenir de la maison close(フランス) 
タイトルが長すぎてイラつく。これはフランス流の得意なメロドラマだ。かなりスケールが大きいので注目あれ。バットマンに出てくるジョーカーと同じ無気味な笑いをする、売春宿で働く娼婦の物語。20世紀初頭のフランスで起こる悲劇的であり得ない話。物好きには良いかもしれないが、苦手な人は素通りするのが良いだろう。

La piel que habito(スペイン) 
アントニオ・バンデラスの里帰りだ。ここは、ハリウッドや所得税を賄うための『スパイキッズ4』などの駄作を一旦忘れて、古き良き友人のアルモドバル監督を訪ねよう。今回、監督がバンデラスに与えた役はパルムドールの匂いがする。それは、魔法の方式を見つけるためなら、良心をとがめない外科医の役だ。アルモドバルが起用する女優で観客を15回目にして泣かさないとしたら、今回の監督とバンデラスとのコラボは審査委員の意表を突くことだろう。

La source des femmes(フランス) 
単純で面白いこの映画は、どこか新鮮で反抗的。北アフリカのとある小さな村で、女たちがセックスストライキを決行する。山頂に水汲みに行かされるのがもううんざりだからだ。今度は男が行く番だ。小さながら、大きい可能性を秘めている映画であることが直ぐに分かる。過去に、この類の映画は審査委員を夢中にさせた前例がある。パルムドールが期待できる穴馬に違いない。

Le Gamin au Vélo(ベルギー) 
カンヌでダルデンヌ兄弟は、要注意監督だ。わずか8作品で2つのパルムと脚本賞を既に受賞している。二人のドキュメンタリーに近い、手持ちカメラとシンプルで時折乱暴なナレーションで描く社会の貧しさは、観客をノックアウトする。この恐ろしい兄弟の作品上映会に臨んだ者は、無事に帰られない。父に捨てられた12歳の少年がある日、愛情を注ぐことに苦戦する若い女性と出会う。それも、二人の監督が得意とする庶民的な環境と言う設定で。カンヌにブックメーカーが存在したら、彼らに20対1ですら賭けないだろう。

Le Havre(フィンランド)
どのシーンも笑えないことが想像できる。元作家が名声を捨て、フランスのとある港町(それも決して美しい港町ではない)に行くことを決心する。それも稼ぐためではなく、靴磨きをしながら町のバーで酒に飲んだ暮れるためだ。自殺ならもっと楽な方法もがあったはずだ。その上、死にそうな妻、そして、警察に迫害されている移民の少年が登場し、どんな不公平との戦いが繰り広げられるかは予想が付く。とても勝負にならない、よくある話だが、見るに飽きない。

Melancholia(デンマーク)
極度の技術的ミニマリズムの原則、「ドグマ95」の父、ラース・フォン・トリアーがこの度、全く違ったジャンル(ドグマから禁じられたジャンル)に挑む。SFしかもパニック映画だ。幸いにもラースはここ数年、自ら作った主義から離れていた。その足かせから解放されたラースは、フラッシュバックという手法で(これもまたドグマの禁じ手)二人の姉妹の物語を描く。一人は、地球と別の惑星との恐ろしい衝突の予告にひどく落ち込んでおり、もう一人は恐怖とパニックに陥っていたのだ。セット(ドグマの禁じ手)と最新のHDファントムカメラ(ドグマの禁じ手)は、私たちを見事にこの黙示録的で、暗い世界に浸らしてくれることだろう。だからラースよ、自分が作った主義の禁じ手を冒してまでがっかりさせないでくれ...

Michael (オーストリア)
ミヒャエルは10歳の子供、ヴォルフガングと一緒に強いられた5ヶ月間の共同生活を思い起こしている。あらすじを読む限り、それしか分からない。しかし、オーストリアでここ数年起こった、幼児の監禁や強姦事件を知れば、ストーリーの全貌が分かる。6年間以上監禁されたナターシャ・カンプシュには、加害者との間でできた、誰にも話せない恐ろしい秘密があった。この映画は、実際に起きた社会的悲劇に明かりを灯してくれるかも知れない。

Pater(フランス)
あらすじ:ヴァンサン・ランドン(俳優)とアラン・カヴァリエ(映画監督)は父子のような絆で結ばれていた。一緒にバーでポルト酒を飲んだり、どんな映画を作るか語り合ったりしていた。時に、スーツにネクタイ姿で、権力者のふりをしたりした。どこまでずけずけモノが言えるか試して、大笑いもした。個人的なエピソードとただの物語を間違ったときのありそうもない話をしてみたりした。そして、常に答えのない映画の問いかけ、「それって、本当か嘘か」をもしてみたりした。
何か理解できた?私はさっぱりだ。じゃ、次へ行こう...

Polisse(フランス)
警視庁の未成年保護部隊の日常を描いた作品。どう劣悪な職場(幼児強姦、虐待、売春...)と私生活を割り切れるかがテーマだ。あまり取り上げられないテーマだが、フランスや他の国でも、このような部隊の仕事は恐ろしい。マイウェン監督は、わずか16歳でリュック・ベッソン夫人となった(変わった趣味趣向をしているよね、ベッソンというやつは)。彼女は多才で、女優としても監督としても、早々と同業者の間でその成熟は認められた。だから、こんな難しいストーリーを描くのは、彼女にとってお手の物だ。

Sleeping Beauty(オーストラリア)
長すぎる題名を付けたフランス映画の後、オーストラリアもまた売春宿をテーマにした。ペローの童話の世界と『朝顔』の世界が不思議と混ざり、とんでもない秘密が隠されていそうな神秘的な悦楽の世界が描かれている。どこか『アイズ・ワイド・シャット』の素晴らしいシーンを彷彿させる。美的センスは保証されるものの、授業料を稼ぐため春を売る若い女子大生の秘密が、未だかつてなかったエロチシズムを見せてくれることを願う。

The Artist(フランス)
1927年のハリウッド。トーキー映画の登場で落ちぶれる無声映画の大スターの人生と、その革命的な発明で存分得するエキストラ女優の人生が交差する物語。正直、何回も見たこのような物語はどうでもよく、『雨に唄えば』を超えるものはないと思う。いいえ、この映画で注目すべきなのは、映画の要である主役のジャン・デュジャルダンだ。天才俳優である彼は、喜劇も悲劇も信じられないほど自然にこなす。面白くてとても魅力的なこの男は、フランス映画の新星だ。彼は映画祭期間中、ブラッド・ピットの主役を奪いかねない。奥様方、この上等なフレンチ・ラバーに要注意だ...

The tree of Life(アメリカ)
ついに来たか!セレクション部門の大規模映画。本作品は、テキサス風にアレンジされたある種、50年代の家族ドラマだ。ブラッド・ピットを主演に抜擢しただけで、映画の予算の8割は本人のギャラに消えただろう。それにショーン・ペンの出演を加えると、いったい何でフィルム代を賄ったのだろう。監督はスタンリー・キューブリックのアメリカ版、テレンス・マリック。キューブリックよりさらに生産性が低く(7年にたった1本の作品を公開)、彼の仕事ぶりは、負けず劣らず謎めいている。本作品では、ドラマと言っても、哲学的な怪奇映画で、宇宙の叙事詩の様なもの...スゴーイ!こんなけんそん的なコメントの後、何を付け加えるというのだ?何も言えないだろうね...

This must be the place (イタリア)
あのショーン・ペンは賢いな!セレクション部門で2回も登場するなんて。きっと、「アメリカ人で外したら、少なくともイタリア人で何かゲットできるだろう」と、思ったに違いない。確かに、ザ・キュアーのいないロバート・スミスそっくりの老いるロックスター扮するショーンは見ものだ。それに加え、50歳間近になって主人公はある使命に燃えだす。それは、アウシュヴィッツ強制収容所で自分の父を拷問した元ナチスの犯人をアメリカ中で探すことだった。この脚本はユダヤ人の悲劇を全く違った角度からとらえたもの。
共演者は、コーエン兄弟作『ファーゴ』で婦人警官の役を演じ、アカデミー主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンド。カルト映画の匂いが思いっきりするね...

We need to talk about Kevin (イギリス)
セレクション部門のラストを飾るのは、きっと今年の映画祭で最も衝撃的な映画だ。描かれている事態のすさまじさに気付き、いきなり息苦しくなりそうな作品。おそらくアメリカのコロンバイン高校で起こった惨劇をモデルにしており、16歳の息子が犯した取り返しのつかない、不可解な罪に直面するある母親の物語だ。息子が事件を引き起こした原因を究明しようとするこの女性は、罪悪感と母性との間で葛藤するほかなかった。十分愛情を注いだ母親であっただろうか?自分に全て責任があるのだろうか?息子の本性は何だろう?一つだけ確かである。この映画を見た後、観客はじっとしておられず、急いで家に戻り息子に、多くの家庭であまり聞くことのない簡単な問いかけをするだろう。「ねえ、今日何について話したい?」


第64回カンヌ国際映画祭は結局、驚きいっぱいの年になりそうだ。そして、偉大なデ・ニーロの審査に文句を付けるマスコミはいないだろう。彼の存在は、スクリーンでも、実生活でも、同じに違いないからだ。端的に言うと、彼の眼差しに抵抗するのは難しい...

審査結果は5月22日に発表される。それまで良い映画をたくさん観て、セルジオ・レオーネ、フェデリコ・フェリーニ、黒澤明、スタンリー・キューブリック、マルセル・カルネ、小津安二郎、オーソン・ウェルズなどの巨匠たちが残した名作をもっと好きになって欲しい。
最後に、この魔法の世界の巨匠が残した名言を引用する。「映画はセックスと同じで、上手くいくと素晴らしい。上手くいかなくても、悪くない。」ジョージ・キューカーの言葉だ。

第64回カンヌ国際映画祭特集 いよいよ開催!
24段の階段を2時間かけて上るスター、沖には出ないヨット、高すぎるホテル、パルムドールの行方を左右する審査員陣
>ここでしか聞けない裏話満載!

第64回カンヌ国際映画祭特集 受賞結果一覧
パルムドールは、『The tree of life(ツリー・オブ・ライフ)』が受賞!批評はされてこそ。可もなく不可もなかった日本、作品次回は是非とも頑張ってほしい
>素晴らしい映画が揃った今年のカンヌ、その他の受賞作品をチェック!

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第64回カンヌ国際映画祭 公式作品
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第64回カンヌ国際映画祭特集 オフィシャルセレクション20作品紹介

Directed by Nuri Bilge CEYLAN

Directed by Nicolas WINDING REFN

Directed by Nanni MORETTI

Directed by Naomi KAWASE

Directed by Joseph CEDAR

Directed by Takashi MIIKE

Directed by Bertrand BONELLO

 Directed by Pedro ALMODÓVAR

Directed by Jean-Pierre et Luc DARDENNE

Directed by Aki KAURISMÄKI

Directed by Lars VON TRIER

Directed by Markus SCHLEINZER

Directed by Alain CAVALIER

Directed by MAÏWENN

Directed by Julia LEIGH

Directed by Michel HAZANAVICIUS

Directed by Terrence MALICK

Directed by Paolo SORRENTINO

Directed by Lynne RAMSAY

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