理想の仕事~映画の学会とビジネスを結ぶ仕掛け人

私が理想とする仕事をする人がいる。アメリカの映画製作配給会社フォーカス・フィーチャーズhttp://focusfeatures.com/)のCEO、ジェイムズ・ シャマス。カリフォルニア大学バークレー校で英文学の博士課程で取得し、名門コロンビア大学フィルムスクールで映画理論と映画史の教鞭をとる教授だ。一方で、批評的にも興行的にも当たるインディペンデント映画を製作配給するフォーカス・フィーチャーズを経営。アカデミー賞ノミネートの「「キッズ・オールライト」「ミルク」「ブロークバック・マウンテン」を扱ったりしている。脚本も書いたりしている。自分のキャリアを真剣に悩むにつけ、本当にこんな人になりたいと真剣に思ったりする。

なぜこのジェイムス・シャマスの仕事が憧れの仕事かって、映画の学会と産業界の両方で成功をしているから。それぐらいなら他にもいるかもしれないが、彼の会社から世に出ていく映画は、批評的にも興行的にも成功していて、しかもアカデミー賞やゴールデングローブ賞まで受賞したりしている。映画が扱っている主題も万人向きじゃないのに、どれを観ても面白い。ああ、こんなことが同時多発的にできるなんて、羨ましくて仕方ない。大体、映画会社の責任者は映画制作の現場からたたきあがってくるプロデューサーか、MBAなどで経営学をみっちり学んでウォール街から来たコテコテのビジネスマンか、複雑な法律に詳しい弁護士だったりで、理論を論じてきた学会上がりというのは本当に珍しいと思う。私にとっては、このフォーカスの映画だから観に行こう、というモチベーションにまでなっている。ああ実に羨ましい。

私の大学院の専攻は、映画理論や映画批評などを様々な角度から学ぶアカデミックなもので、卒業後はほとんど皆が学会にキャリアを進め教授になったりして、産業界に就職することはあまりない。私のようにしっかりビジネスにまみれた後に入学し、映画会社でのインターンをせっせとやり、卒業後もビジネスに戻ろうとしている学生など皆無だった。しかも外国人だったし、自分は他の人とは異質だな~と思いながら学生生活を過ごした。卒業してずいぶん経つけれど、今でもなんだか居場所が見つけられないと悩んでいた矢先、この人の存在を知った。

ジェイムス・シャマスは英文学、映画学などの学会でも活躍する一方、ひょんなことからある程度の年齢になってプロダクションアシスタントをするようになって映画制作の現場で実践を積み、同時にお金の流れを学んでいたようだ。制作で忙しい同僚たちから、資金の管理や調達を頼まれて「ああ、やっておくよ。」みたいなノリが積み重なり、制作やビジネスの現場でも良い仲間にも恵まれたようだ。その後アン・リー監督作品など良質なインディペンデント映画を多く制作・配給していたグッド・マシーンという会社を創業して共同経営。その会社がユニバーサル・スタジオに買収されて現在のフォーカス・フィーチャーズの形になったようだ。そうか、やっぱり「お金の流れ」と「仲間」が大切なのね、と実感。学会と産業界での自分の立ち位置を、どうバランスをどうとっているのかとても気になる。相当忙しい人らしいが、来日でもして講演でもして欲しい。今現在、フォーカス・フィーチャーズで全米公開の作品は「ビギナーズ(原題)/Beginners」というユアン・マクレガー主演のドラマ。往年の名優クリストファー・プラマーや最も旬なフランス女優メラニー・ロランが脇を固めるドラマらしく、批評家たちからも4つ星出まくりの名作らしい。早く観たい。こうして良質なヒット作品も出しつつ、小難しい学問でも名をあげているのか?もっとこのジェームス・シャマスCEOについて研究してみよっと。
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