イケメンすぎない主役のほうが映画はあたる?!

「イケメン」という言葉が流行りだして早10年強。この「イケメン」というキーワードに、過去10年の消費社会でどれだけ巨額のお金が動き、そして私を含むどれだけの女子たちが惑わされてきたことか(笑)。「イケメン」の基準はいろいろあるけれど、やっぱり美しい男子の活躍する様子は見たいし、映画やテレビで「イケメン」が主演するほうが成功するに決まっている。
とはいうものの、この数年の映画業界を観察するに、実はイケメンでないほうが話題を呼びやすく、映画が興行的にあたりやすい気がしてならない。映画制作側にとっては、3Dなどでかさむ製作費のなか、高給取りのスター級を使うのは考えどころなのか、まだまだこれから、という俳優の中からキャストを探すことになるだろう。そこで重要なのは男性の観客には「オレでもイケるかも?」、女性の観客には「ワタシを裏切ることもなく優しそう」と共鳴と安心感を与えられること。結果、ギャラが安い割には映画が当たるから、そこそこコスパがいいというわけか。映画会社や大物製作者に重宝がられて、ポジティブなスパイラルが回っていくのだろう。
シャイア・ラブーフ たとえばこの人、シャイア・ラブーフ(25歳)。 ハリウッドのTVドラマシリーズや映画の端役で着々とステップアップし、7月29日公開の最新作「トランス・フォーマー/ダークサイドムーン」をはじめ、シリーズ3作品の主役を演じて大当たり。この最新作、6月末に全米公開されるやいなや、本年度のオープニング成績ナンバー1を記録し、既にシリーズ中、興行的に最も成功した作品になった。その他にも「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」や「ディスタービア」「イーグル・アイ」などのアクション大作で大活躍。スピルバーグの寵愛を受けているからこその活躍であるとも思うが、誰でも共感できる、どこにでもいそうなフツー具合と、演技の巧さの絶妙なバランスがいい。本人も「自分は見目麗しいタイプでないのはわかっているし、そんなこと気にもしていない。」とのことで、この力の抜け具合が彼の同世代の共感を得ているような気がする。個人的には「ウォール・ストリート」で演じた役が良かった。血気盛んにマネーゲームに身を投じるものの、環境エネルギー企業にさかんに投資したり、彼女との関係を大事にするなど、1980年代生まれの彼の等身大を演じていて好感が持てた。ギラギラな放蕩生活に耽った親や親せきのオジサンぐらいの世代を冷静に観察して、"オレは着実に生きていこう"と思う地に足のついた世代の代表なのだろう。本人は、"トランスフォーマーシリーズは成功したし、自分の役目は終わったので今後出演しない"と言っているらしい。この、成功に固執しないフツーらしさが、イケメンでなくても人を惹きつけている。
ジェームス・マカヴォイそして私の超お気にいり、ジェームス・マカヴォイ(32歳)。
彼を観たいがためだけに「X-Men/ファーストジェネレーション」を観に行った。顔が美しいわけでもなく、身長が高いわけでもなく、体型のバランスも悪い。シャイア・ラブーフ同様、自分のルックスをよく理解していて、「醜くはないと思うけど、いわゆる典型的な、ブラッド・ピットみたいな主役を演じられる俳優ではないのはわかってるよ。」とコメントしているらしい。
そもそも最初に注目を浴びたのは「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」の半人半馬のタムナスさん役。半分馬だからなんともいえないが、かなり鈍くてダサめな脇役の印象。それが翌年の「ラスト・キング・オブ・スコットランド」での主演でガラっと違う様子を見せた。若いスコットランド人の医者を演じ、英国アカデミー賞の最優秀助演男優賞にノミネートされ、「地味なオタクっぽいけど、スゴイかも?」と思えた。個人的にはその後の「ペネロピ」がお気に入り。金目当てで醜い金持ちの娘ペネロペに近づくものの、やがては一途に彼女を愛するようになる。そのせつない演技が、女子にはたまらない。その後、「つぐない」でゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、演技力も認められてハリウッドで注目されるようになる。また「ウォンテッド」でアクション映画のオタクな主役を演じてアンジェリーナ・ジョリーとも共演し、キャリアの転換を図る。そして「X-MEN」に主演した。"私だけのジェームズ"と思っていたファンとしてはあのままインディ映画にいてほしかったけど、成功が嬉しいのも正直否めない。8歳年上のアラフォー女性と幸せに結婚しているところも我々年上女性の心をくすぐる。
マイケル・セラ彼ら以外にも注目の"イケメンじゃないけど主役で今後も稼げそうな俳優がいる。マイケル・セラ(23歳:「JUNO/ジュノ」「スコット・ピルグリム VS.邪悪な元カレ軍団」。)
ソニー・スタジオに勤務していた友人が、近所でフツーの日本車を運転する彼を目撃したらしいが、あまりにフツーで最初全く彼だとわからなかったらしい。
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット次にはジョゼフ・ゴードン=レヴィット(30歳:「(500)日のサマー」「インセプション」)あたりか。

それぞれタイプが違うけれど、「イケメンでなくても当たる主役」になるには、共感や安心感に加えて、アクションを演じられないとダメ。大きく興行で成功するためには、これ重要。それに少しのコメディ要素もあって、かつ自己を消して様々な役を演じられる多様さがないとダメらしい。また、女子へのアピールには、地味ながら控えめなセクシーさがあり、つかみどころがないけど頼れるところがないと、とも思う。「イケメン」という言葉が生まれて10年。これから先の10年は、中身で勝負の時代が本当にやってくるかも?
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