オノ・ヨーコ、母国の震災や近年の音楽活動を語る

78歳にしてセンセーショナルなカムバックの真っただ中にいるオノ・ヨーコ。プラスティック・オノ・バンドの活動を再開し、昨年は多くのスターを交えたステージも披露した。さらに最近では、ビルボードのダンス/クラブ・チャートで首位も獲得。


物議を醸すアーティストにしてミュージシャン、カルチャーの犠牲者、社会活動家、母親そしてジョン・レノン未亡人と、さまざまな顔を持つ彼女は、新たな世代のファンをも獲得している。そんな彼女に<spinner.com>がこのほどインタビューを試みた。

Spinner.com(以下、S): 第二次世界大戦のとき、あなたは日本にいて、そこから受けた影響を語り継いできました。日本で起きた大きな地震や津波、そして原発事故を聞いたときはどう思われましたか?
ヨーコ・オノ(以下、ヨーコ): (日本は)私の国です。だからとにかくショックだった。ジョンの死とは比べられないけれど、自分の人生で2番目に衝撃的な出来事だったわ。日本の人々は強い回復力を持っているの。彼らは物事をうまくやろうとしている。怒りをまき散らしている人なんていないでしょう。自暴自棄になっている人もいないし、他人のものを盗もうとしている人もいない。とても繊細な人たちだから、うまくやれると思うわ。いえ、"私たち"ね。

S: ここ数年、あなたはやっと世間からの悪いイメージをぬぐい去り、アーティストやミュージシャンとしての活動に焦点を当てていますね。
ヨーコ: 私は常に、自分は重要なミュージシャンだと思ってきました。そういった自信を持たなければ、続けられないんじゃないかしら? アーティストはナルシストだと言う人もいるわね。もちろん、その通りよ! 自分で自分を好きになれないのなら、他の誰が自分を好きになってくれるというの? 私みたいな人は世界のどこにもいない。皆、私のことを憎んでいるけれど、私はこれからも歩き続けるから。

オノ・ヨーコ、キム・ゴードン&サーストン・ムーアとのライヴin NY


S: ビルボードのダンス/クラブ・チャートで6回連続の首位に輝きましたね。これについて何か感じることはありますか?
ヨーコ: ロックがロックで、ブルースがブルース、そしてジャズがジャズだった時代には、ジャンルの垣根を超える人はいなかった。だけど今では、誰もがジャンルを融合させている。これはとても素晴らしいことだと思うわ。ロッカーはブルースやジャズ、そして前衛的な音楽を取り入れているから、音楽的にも豊かになっているのね。(批評家もミュージシャンも)私が遠い昔にやっていたことに気付き始めたのよ。

S: 時代があなたに追いついたと?
ヨーコ: そうね。昔だって、私と一緒にパフォーマンスをしたいというミュージシャンはいたけれどね。(私の音楽は)型にはまらず、感情が大部分を占めていたの。

S: これまで、悲しみとわびしさにまみれながらも、あなたは歌やアートを通じて、ポジティヴなメッセージを届けようとしていました。
ヨーコ: 確かに大変だったわね。でも、ひどい状況のときこそ、立ち上がらなければいけないのよ。私がジョンと一緒にいたとき、世界には悲しみがはびこっていた。悲しみから思想が生まれていたの。だけどジョンが亡くなったとき、私はどん底にいたけど、他の人たちも同じ場所にいることに気が付いたの。「私たちは起き上がらなくちゃ」と思ったわ。そこから「It's Alright」が生まれた。当時は私を殺したいと思う人たちもいて、私がいる場所に爆弾をしかけようとしたりもしたから、ホテルに缶詰め状態になったの。この曲はホテルで書き上げたのよ。

オノ・ヨーコ 「It's Alright」


S: ジョンのファンに対して、責任を感じていると言っていましたね。
ヨーコ: 本当にそう思うの。ジョンも常にそう思っていたから

S: 今年はジョンの生誕70周年になります。これを祝う風潮や、彼のソロ作品がリマスター盤で登場したりするのをどう感じていますか?
ヨーコ: 感動で胸がいっぱいになることがあるわ。ジョンと一緒だったころの私は、ジョンから自立した、うぬぼれの強いアーティストだった。「ジョン、あなたって天才ね」なんて一度も言わなかったわ。そんな風に思えなかったの。自分たちのやっていることにおいて、2人は常に平等だと感じていたから。でも去年、彼の音楽をすべて聴いたときに、「あら、彼って天才だったんじゃない!」って気付いたわ。

S: 誰かとデートしたり、再婚することも考えていますか?
ヨーコ: 私は自立していて、なおかつお高くとまった人間の1人なの。自分の周りに誰がいようと気にしないし、誰かに一緒にいてほしいとも思わない。

S: 80歳に近付きますが、何が幸せだと感じていますか?
ヨーコ: 1つありがたいと思うのは、ショーンのことを心配しなくてもいいってこと。ショーンが10歳か11歳のころは、彼が将来何になるのかなんて全くわからなかった。だけど今、彼は素晴らしいキャリアを手にしているから、私が心配する必要はないの。ショーンはきっと成功するでしょうね。
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