最高の瞬間は「ハッピーなアクシデント」から生まれる...ブラッド・ピットインタビュー

8月12日からいよいよ日本でも公開になった巨匠テレンス・マリック監督の「ツリー・オブ・ライフ」。本作品で孤独を背負う厳格な父親役を熱演したブラッド・ピッドへのインタビューが実現。
脚本を読んで自ら出演を熱望したという彼、今回の撮影は監督との強い信頼に基づいた特別な体験の連続だったようだ。
インタビュアー:『ツリー・オブ・ライフ』です。これは従来の映画とは違う、いわゆる「普通」ではないフランス印象派のような映画ですが、この映画での体験や期待されていたことも、今までとは違ったのではないでしょうか?

ブラッド・ピット:それについては話し出したら止らないね。テリー(テレンス・マリック監督)のプロセスは、とても興味深いからだ。このストーリーは1950年代を設定しているから、町の一角を封鎖して、全員に1950年代風の衣装を着せた。だから、好きなところへ行くことができたわけさ。子供が外で縄跳びをしていたりね。彼は、緻密に書かれた脚本を僕らに渡して、それに徹底的に従ったりはしない。彼が興味を持っていたのは、その日の出来事をカメラに収めることだった。大きな蝶を捕まえようと、網を持って待ち構えている人みたいだったよ。子どもたちには脚本が与えられず、衣装も、ワードローブの中からその日の気分で選んだ服を着ていたんだ。撮るのはたいてい2テイクだったね。テリーは毎朝起きてから1時間脚本を書いて、僕らにそれを渡してくれる。シングルスペースで3~4ページ分だ。そして、それをもとに発展させていく。あらかじめ予想していないから、(演技する)瞬間がフレッシュなんだ。家の中の照明はすべて自然光で、テーブルの上に照明をひとつだけ置き、そのほかは手持ちだった。信じられないほどすごい体験だったよ。ものすごい疲れるから、あれ以上続けるのは無理だ。でも、結果は表れるものだよね。


インタビュアー:テレンス・マリックとの仕事で、人間として、アーティストとして、どれくらいインスピレーションを受けましたか?また、これからのキャリアにもどう影響するでしょう?

ブラッド・ピット:いい質問だね。あれ以来の仕事はすべて変わったよ。最高の瞬間は、あらかじめ考えたり計画したりして起きるものじゃなくて、いわば「ハッピーなアクシデント」から生まれるものだと気づいたからね。だから、あれ以来そういう方向へ向かおうとしている。始める前に熱心に研究するよりも、素人と一緒に脚本からそれてみて、何が生まれるか見ているわけさ。

インタビュアー:この映画は、あなたにとって、自伝的要素はありますか?

ブラッド・ピット:子供から青年になる過程で、将来何になるか決め、いろいろ試してみて、自分に何が向いているか向いていないかがわかり、自分が周囲によって形成されていく。この場合はテリーが、母親は情愛と純粋で善良なものすべてを表し、父親は抑圧された性質で、生き延びるためにはライバルの息の根も止める存在に表した。小さい子供たちはその両方を試してみて、どちらが自分に合っていて将来何になるかを見つけ出すわけだ。また、誰もが経験する人生のはかなさも味わう。このストーリーの中には、テリーの個人的な要素も僕の個人的な要素も含まれているよ。でも、それが彼や僕を映しているとは思わないし、テンプレートになっているとも思わない。


インタビュアー:この映画を深く理解しているようですが、信頼するのは難しくありませんでしたか?監督からは、事前にどんな話があったのでしょう?

ブラッド・ピット:もちろん信頼が必要だよ。そこが肝心なんだ。でなければハプニングは生まれないし、テリーなら任せて大丈夫だとわかっているからね。そんなに怖いことじゃないんだ。


インタビュアー:テレンス・マリックと仕事できるというほかに、脚本を読んだときに引き受ける理由となったストーリーの魅力はなんでしょう?父親役だからですか?

ブラッド・ピット:僕らはすでにプロデューサーとしてかかわっていたんだ。残念なことにこの業界では、ストーリーがすばらしくても、製作にこぎつけるのに苦労することが多い。たとえテリー・マリックのような人物でもね。僕らはいい脚本が数多く埋もれていくのを見ていたから、これも同じ道をたどらないようにしたかった。だから僕が乗り出したんだ。


インタビュアー:父親役ということについては?

ブラッド・ピット:いや僕は・・・厳格な父親を演じることには、少し抵抗があったんだ。でも、このストーリーはとても重要だと思ったし、大切なのは子供のたどる道のりだと思っていたからね。今は自分の子供についてあらゆることを考えるし、「子供が大きくなってこれを見たらなんて思うか」とも考えるけど、僕のことをお父さんとしてよく知っているから・・・「すごい俳優だな」って思ってくれることを願っているよ(笑)。


「ツリー・オブ・ライフ」  8月12日(金)全国ロードショー
続きを読む