ああ~っ、平和なLAがエイリアンとの壮絶な戦場に!「世界侵略:ロサンゼルス決戦」

地球侵略の為に来襲するエイリアンの大群と10人の海兵隊員との死闘。1942年に現実に起こった未確認飛行物体との"ロサンゼルスの戦い"をアイデアの基にしているという。好みのジャンルでないし、本国での手厳しい批評も知っていたし、通常なら敬遠してしまうのだが、あえて観たいと思っていた。昨今のハリウッドのSF/エイリアン映画の新しいトレンドを知りたかったし、このタイプの映画は絶対にハリウッドでしか製作できないから。それに世界25カ国で初登場No.1。Box Office Mojoで調べても、歴代のSF/エイリアンジャンルでの興行収入順位は並み居る大作の中でも比較的良いランク。何かあるに違いない。


2011年、未曾有の流星群とエイリアンが各国の海岸に出現し猛攻撃を開始する。西海岸で攻撃能力があるのはロサンゼルスのみ。海軍のベテラン、マイケル・ナンツ2等軍曹(アーロン・エッカート)は、もう中年でもあり、多くの部下を失った苦しみに苛まれたこともあって、退職願を提出していたのだが、動員命令が下り急遽出動することに。配属された小隊の指揮をとるのは自分よりかなり若いエリートで、メンバーも17歳の新兵、結婚式を控えていた伍長(Ne-Yo:映画初出演)、ナンツの下で兄を失った伍長など実戦経験の少ない若者ばかり。後に空軍の女性2等曹長(ミシェル・ロドリゲス)も加わる。ミッションはサンタモニカ空港の前線基地から防衛線を越え、逃げ遅れた民間人を3時間以内に避難させること。遅れたら軍は空爆を仕掛けるという。しかし市街ではエイリアンとの凄惨な戦いが待っていた。

もろもろ突っ込みどころはあるものの、実は、意外と見ごたえがあった。それはやっぱり撮影の演出。SF/エイリアン映画というよりは、戦闘ムービーで、テーマも話も違うが、「インディペンデンス・デイ」「ブラックホークダウン」「第9地区」などを思い出す。とにかく想像以上に凄まじく、ずっと劣勢の地上戦で、よく知るロスのビーチ近辺の街角が激戦地と化す。その様子の多くは、戦う小隊からの目線で、手持ちカメラで撮影。クロースアップショットが多く、カット割りも早いから、緊張感がずっと続き全く気が抜けない。 "エイリアンとの戦い"なんて、もう何十年も製作されているテーマだからか、ドキュメンタリーの手法を用いてより現実感と臨場感を演出するのが昨今のトレンドか?

こういった映像の印象が強烈すぎるので、想定内ではあるが、ストーリー展開やセリフはなんだか物足りない。エイリアンの描写や侵略の背景が曖昧だし、愛国主義の海軍のプロパガンダみたいなシーンも多いし、TVゲームをやっているような感覚も否めない。

そんな中、主役のアーロン・エッカートの存在感が光る。インディ映画から大作まで幅広くこなす43歳。男性のほうがより楽しめる映画なだけに、オトナの女性としては、この人にとても共感を持てる。SFジャンルでも「トランスフォーマー」のような映画はノスタルジーで観る映画だから、主要観客層の男性たちが、女子にはわからない少年の頃の夢の具現化を懐かしく楽しめる。一方、この映画の場合、性別関係なく、ナンツ軍曹に現時点の自分をみる人も多いかも。海軍に20年もいながら現場が大好きなヒラの軍曹。管理職が性に合わないが下からは信頼される。以前、部隊の若者を戦いで死なせ、自分だけが生き残ったトラウマから逃れられず苦悩するも、人類の為に立ち上がる。アメリカン・ヒーローの美学、ここにあり。こんな男性に、恋愛を、会社を、国を引っ張っていって欲しいと思うのは私だけではないはず。

この映画の監督は南アフリカ出身の35歳の新鋭、ジョナサン・リーベスマン。南アフリカといえば、「第9地区」のようなアイデア勝負のエイリアン映画で大ヒットした才能も輩出した国だ。国の発展と共に映画産業も活発だと聞くし、そういう新興国の新しい才能をこんな大作で試しているのも、やはりハリウッドならではだと思う。


9月17日(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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