仲の良いセフレとは進化した男女の友情なのか?恋愛の本音満載、「ステイフレンズ」

「SEXしても友達。それが二人のハッピールール?」なんてコピーに驚きはしたものの、久しぶりにラブコメを観て、純粋に笑って泣いてとても楽しい気分になった。
ラブコメ、それも都会に住む魅力的な恋愛ルーザー達の話など、世界中で何百万回も映画にされてきたが、キャストや話の設定によっては全く飽きない。良い例がこの映画。

ニューヨークのヘッドハンター、ジェイミー(ミラ・クニス)は、ロサンゼルスでアートディレクターとして活躍するディラン(ジャスティン・ティンバーレイク)をGQ誌に転職させようとNYへ招待する。全く乗り気でなかったディランだが、ジェイミーの熱心な説得と彼女が案内するNYの街の魅力に転職を決心。その後も彼女はディランにNY的生き方を教え、恋愛に失敗続きの似た者同士ゆえ、すぐに親友になる。腹を割って色々話すうちに、お互い、"恋愛は面倒だけど、カラダの関係だけは欲しいかも"と同じ価値観を共有していることに気づく。そして、恋愛感情一切ナシ、甘い言葉厳禁を条件のセックス・フレンドになることに。進化した友情にお互い満足していたのだが、ちょっとしたことから微妙なズレが生じて...。

"純粋にカラダだけの友人関係などありえるのか?"というタブーをテーマとされると、面食らって、"まずありえないでしょ"と思う(思わない人もいるかもしれないが)。やがて"もしかしたら上手くいくのかも?" とか"そんなセフレも真剣な恋愛に発展するのかも?"といったささやかな妄想(あるいは願望?嫌悪?)など様々な思いを抱き始める。我々のそんな疑問や思いにこの映画はテンポよく答えてくれて小気味良く話が進んでいく。

多くの日本人からすると、モラル的にどうなの?と思う人もいるだろうし、少数だろうが"アリじゃない?"と思う人もいるだろう。個人的には"あんなに魅力的な男女が、カラダの関係の前後にも、本音を語り合い、しょっちゅう一緒にいるのに、彼・彼女でないとう。アメリカ人の恋愛基準がわからん!"と思ったりもしたが、実際、見聞きする話だし、異文化体験?と思って観てもとても興味深い。今の日本だって身近に思う人、悩む人は大勢いるだろう。魅力的な男女なりに恋愛の悩みは多いし、男女の関係は多様化してきているのだ。本作はそのあたりを上手く訴求していると思う。

加えて、キャスティングのセンスがいい。主演のジャスティン・ティンバーレイクとミラ・クニスはまさに旬なスター。すでに二人とも各々「ソーシャル・ネットワーク」と「ブラックスワン」で実力を証明済みだが、二人が揃うとうまい化学反応が起きる。ジャスティンは若干硬い印象があるものの、実生活でのMy Spaceへの運営参画とあいまって、LA出身の新進気鋭のネット系イケメン役が本当によく似合う。ミラ・クニスも美しく賢く、理想主義な母親とは真逆の超現実主義ニューヨーカーがハマリ役。監督は、ハリウッド黄金期の有名なラブコメ・カップル、キャサリン・ヘップバーンとスペンサー・トレイシーを思い描いていたらしいが、まあわからないでもない。あの時代からは想像できないテーマではあるが、ケミストリーの面白さ、早口の掛け合いの上手さは共通するものがある。

そして脇を固める脇役がいい。カップルの恋愛沙汰だけなら間延びしてしまうところだが、家族や同僚の状況設定も複雑で面白く、主役の意思決定を上手くサポートしている。パトリシア・クラークソンの70年代の性解放を謳歌した母親、リチャード・ジェンキンスのアルツハイマーを患う敏腕記者で厳格な父親役、父の介護をしながらディランを見守るジェナ・エルフマンの姉役。ウディ・ハレルソンのゲイで差別用語バリバリの同僚役。どれも真実味あって、少し出演するだけでも印象が残る。

誰と一緒に観るかは悩むところだが、複雑化した現代の恋愛価値観は格好の女子会ネタ。自分の女子友に早く観てもらって、大いに盛り上がりたい。


10月1日(土)シネクイントほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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