ヒーローの次はアンチ・ヒーロー!? C・エヴァンスのインディー作品への思い
10月14日にいよいよ日本でも公開される『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』。マーベルコミックが生んだ最初のヒーロー、キャプテン・アメリカを演じたのが、クリス・エヴァンスだ。次のアメコミ超大作『ジ・アベンジャーズ』にもキャプテン・アメリカとして登場することが決まっていて、今ハリウッドで最も勢いのある俳優の1人である彼が、実はある映画の撮影中に『キャプテン・アメリカ...』のオファーを拒否していたことがわかった。
そのある映画とは、『Puncture』という小規模のインディー映画。予算こそ大きく違えど、クリスはこのインディー映画で演じたマイク・ワイスという人物に相当ほれ込んだようだ。
「脚本を読み始めて、20ページ目あたりから、もうすでにマイク役のセリフが入ってきて実際にセリフを言いながら読んでいったよ。これは本当に面白い脚本だけが起こす現象で、もう演じたくてしかたなくなる人物像だった」
こうクリスが語るマイク・ワイスは実在の人物で、テキサスはヒューストン在住の弁護士だった。『Puncture』は、マイクが実際に取り組んだ「注射器をめぐる裁判」を中心に語られる。マイクと親友でありパートナーのポール・ダンジンガーのもとに、HIV患者に使用した注射針からウイルスが感染してしまったナースの依頼が舞い込み、その事件を追うことになる2人。しかし問題をたどればたどるほど、医療業界に巣くう巨大な悪の存在が明らかになる。事件の根深い問題に、ポールも手を引くようにマイクを説得するが、そんなリスクを承知でマイクは、命をかけて裁判に挑んでいく。
と、ストーリーを書くと、マイク・ワイスという人物が『キャプテン・アメリカ』のような実直なヒーローのように思えるけれど、実はマイクは完全なドラッグ中毒者でもあり、複雑な人間性を持った、むしろアンチ・ヒーローと呼ぶべきキャラクターなのだ。そんなマイクのことを、クリスはこう語っている(残念ながら、マイクはすでにこの世を去っている)。
「(マイクは)天才なんだけど、性格が悪くて、女たらしで、頭が良すぎて人を傷つけるタイプというか、出会いたくない種類のクズなんだよね。でも憎めないんだ。仕事はできるし、賢いし、カリスマがあって、でも完全なクズ、っていう複雑な人物だね」
実在した人物を初めて演じることとなったクリスは、生前のマイクを知る人物に会い、本当のマイクについての話を多くの彼の友人や仕事仲間から聞いたようだ。
「死んでしまった人に対してあまり言いたくないけれど、彼を実際に知っていた友人たちも、『マイクはクズだ』とか散々なことを口にしていたよ。でも、本当にマイクのような超天才的な頭脳の持ち主には、周りにそう言われてしまうのは仕方のないことなのかもしれない。非常に頭のいい人は、得てして孤独なことが多いんだ」
『Puncture』予告編
そしてマイクの孤独が招くドラッグの使用についても、クリスはこうコメントしている。
「ドラッグをやっている芝居は、絶対に大げさにしてはいけない」
クリス自身も、周りの友人や親戚などがドラッグ中毒に悩まされてきたのを間近で見てきているため、あくまでも感情を抑えた繊細なタッチの描写で、より深い心の闇を描いているようだ。
「でも、この事件にマイクが挑んだのは、彼なりの罪滅ぼしなのかもしれないとも思うんだ。きっと自分がかけてきた迷惑とか、傷つけてしまったことに対しての、一種のつぐないなんじゃないかな」
こう語るクリスは、今後もこのような狂気と優しさを抱えた複雑な人物を演じたいと打ち明ける。キャプテン・アメリカは逆にいいヤツすぎて演じるのが大変だった、と爆弾発言をさらりとしながらも、いつかカメラの裏側に回り、監督をしてみたいと野心を語った。
「ちょっとバカっぽいけど、映画を見て泣くのが好きなんだ。だから人間関係で魅せる映画を作りたいね。家族の関係、恋人同士の関係。すごくグッとくる会話のたくさんある作品をね。そうだね、きっと『Puncture』みたいなインディー映画かな」
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「脚本を読み始めて、20ページ目あたりから、もうすでにマイク役のセリフが入ってきて実際にセリフを言いながら読んでいったよ。これは本当に面白い脚本だけが起こす現象で、もう演じたくてしかたなくなる人物像だった」
こうクリスが語るマイク・ワイスは実在の人物で、テキサスはヒューストン在住の弁護士だった。『Puncture』は、マイクが実際に取り組んだ「注射器をめぐる裁判」を中心に語られる。マイクと親友でありパートナーのポール・ダンジンガーのもとに、HIV患者に使用した注射針からウイルスが感染してしまったナースの依頼が舞い込み、その事件を追うことになる2人。しかし問題をたどればたどるほど、医療業界に巣くう巨大な悪の存在が明らかになる。事件の根深い問題に、ポールも手を引くようにマイクを説得するが、そんなリスクを承知でマイクは、命をかけて裁判に挑んでいく。
と、ストーリーを書くと、マイク・ワイスという人物が『キャプテン・アメリカ』のような実直なヒーローのように思えるけれど、実はマイクは完全なドラッグ中毒者でもあり、複雑な人間性を持った、むしろアンチ・ヒーローと呼ぶべきキャラクターなのだ。そんなマイクのことを、クリスはこう語っている(残念ながら、マイクはすでにこの世を去っている)。
「(マイクは)天才なんだけど、性格が悪くて、女たらしで、頭が良すぎて人を傷つけるタイプというか、出会いたくない種類のクズなんだよね。でも憎めないんだ。仕事はできるし、賢いし、カリスマがあって、でも完全なクズ、っていう複雑な人物だね」
実在した人物を初めて演じることとなったクリスは、生前のマイクを知る人物に会い、本当のマイクについての話を多くの彼の友人や仕事仲間から聞いたようだ。
「死んでしまった人に対してあまり言いたくないけれど、彼を実際に知っていた友人たちも、『マイクはクズだ』とか散々なことを口にしていたよ。でも、本当にマイクのような超天才的な頭脳の持ち主には、周りにそう言われてしまうのは仕方のないことなのかもしれない。非常に頭のいい人は、得てして孤独なことが多いんだ」
『Puncture』予告編
そしてマイクの孤独が招くドラッグの使用についても、クリスはこうコメントしている。
「ドラッグをやっている芝居は、絶対に大げさにしてはいけない」
クリス自身も、周りの友人や親戚などがドラッグ中毒に悩まされてきたのを間近で見てきているため、あくまでも感情を抑えた繊細なタッチの描写で、より深い心の闇を描いているようだ。
「でも、この事件にマイクが挑んだのは、彼なりの罪滅ぼしなのかもしれないとも思うんだ。きっと自分がかけてきた迷惑とか、傷つけてしまったことに対しての、一種のつぐないなんじゃないかな」
こう語るクリスは、今後もこのような狂気と優しさを抱えた複雑な人物を演じたいと打ち明ける。キャプテン・アメリカは逆にいいヤツすぎて演じるのが大変だった、と爆弾発言をさらりとしながらも、いつかカメラの裏側に回り、監督をしてみたいと野心を語った。
「ちょっとバカっぽいけど、映画を見て泣くのが好きなんだ。だから人間関係で魅せる映画を作りたいね。家族の関係、恋人同士の関係。すごくグッとくる会話のたくさんある作品をね。そうだね、きっと『Puncture』みたいなインディー映画かな」
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