西部劇にエイリアン?意外な対決の超大作「カウボーイ&エイリアン」

このタイトルを聞いてコメディかB級映画かと思ったが、いたってシリアスなハリウッド超大作。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ、製作はロン・ハワードとブライアン・グレイザー、監督は「アイアンマン」のジョン・ファブローで、出演はダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド。同名のグラフィック・コミックの映画化だが、本になる随分前のコンセプト段階で映画化権が買いとられていたらしい。ハリウッドのヘビー級クリエイター達やメジャースタジオがどれだけ入れ込んでいたか容易に想像できる。いったいどうやってカウボーイとエイリアンを戦わせるのか?もう、これ以上ないぐらい、期待が最大限に膨らむ。

1873年、アリゾナ。一人の男(ダニエル・クレイグ)が荒野で目を覚ます。彼は自分が誰なのか、どこから来たのかわからず、ただ腕には奇妙な腕輪がはめられていた。自分のルーツを探ろうと町に出ていくが、そこはカーネル・ウッドロード・ダラーハイドという男(ハリソン・フォード)に支配されていた。偶然訪れたバーで、出会ったばかりのはずの女(オリヴィア・ワイルド)が話しかけてくる。彼女は自分が誰かを知っているようだった。その夜、夜空にかつて見たことのない不気味な侵略者が襲来。その攻撃に立ち向かえるのは、記憶を失った男だけだった。想像を絶する巨大な敵に、男の手にはめられた銀の腕輪が青い閃光を放ち始めた。この男は何者なのか?

先週も書いたが、西部劇を様々に解釈していくのがこの何年かの流行りなのか、今度はSF/エイリアンを掛け合わせたという。西部開拓時代にエイリアンが来襲してカウボーイと戦うなんて奇想天外なコンセプトを発想し、海千山千のハリウッドの一流どころを説得して途轍もない制作費を投入し、しかもインディアナ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)とジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)を共演させてしまう。その信念と執念たるや、さすがハリウッド。ビジュアル的に挑戦的な原作だけに、ヒットメーカー達の腕の見せどころ満載で、大スクリーンにふさわしい。結果、アメリカ国内で7月29日に公開され、興行収入3,620万ドルで初登場第1位も頷ける。

このカウボーイとエイリアンとの戦い。不撓不屈の精神であまりに普通にカウボーイが応戦しているのが不思議なかんじもするが、この一連の展開は驚きと興奮の連続。この対決をSFファンタジーに思いっきり振るのか、ある程度のリアルさを出すのかというバランスは、さぞ難しくかなり危険な賭けだったと推察する。その難しさを解決する為に2つの異なる世界を結ぶ役回りを、ダニエル・クレイグ演じるジェイク・ロネガンという男に持たせたようだ。このバランスをどう解釈して楽しむかは、我々見る側の立ち居地にもよる。ダニエル・クレイグは渋いガンマンがハマリ役で、鍛え上げた肉体に謎の過去を持つ無口な様子はかなりセクシーで、女子的にもウレシイ。ハリソン・フォードは出演するだけで映画に本物感がプラスされ、強欲な支配者ではあるが人間味溢れる西部の男を好演。人気急上昇のオリヴィア・ワイルドの配役は意外ではあるが、クライマックスで重要な役割を美しく演じている。というわけで、定石なストーリーではあるが、様々なエピソードを入れ込み、演技派の大スターがシリアスに演じているので、普通の上質な西部劇風ヒューマンドラマを鑑賞しているような気分になる。それだけに、突然エイリアンが出てきてド派手に戦う様子を観ると、ちょっと解釈に戸惑った。私の頭がカタイのだろう。でも結果的には、このハリウッドらしい大作を十分堪能できた。

細かいことはさておき、個人的には、僭越ながら製作者たちの心意気を賞賛したい気持ちになった。この奇想天外な活劇を世に出した時の観客の反応が彼らは必ずや読めていたはずだし、それでもなお観る側に、その是非やこの映画への受容範囲を問うている、そんな気がしてならない。常に挑戦を止めないハリウッドの1つの戦略と懐の深さを見た気がした。

10月22日(土)より丸の内ピカデリーほか全国超拡大ロードショー
続きを読む