映像の魔術師、パワー全開。豪華絢爛・壮絶スペクタクル「インモータルズ‐神々の戦い‐」

「ザ・セル」や「300(スリー・ハンドレッド)」などで強烈な映像美が話題を呼んだインド出身のターセム・シン監督と「300」の製作陣が再びタッグを組んだ。その最新作はギリシャ神話を題材にしたアクション・スペクタクルだ。独特な映像表現のせいか、広く大衆向けというよりもマニアが多いという印象を受ける監督。だが、映像美もさることながら、これからブレイクしそうな俳優達に注目した。主役のヘンリー・カヴィルは2013年公開予定の「Man of Steel」でスーパーマン役に決まっているし、「三銃士」を観て以来ファンになった全能の神ゼウス役のルーク・エヴァンスは2012年の「ホビットの冒険」にも出演予定。イケメンが観たい!その一心で、今回は2Dの完成披露試写会にお邪魔した。(劇場公開は2D・3D上映)

人類誕生の遥か昔、ゼウス(ルーク・エヴァンス)をはじめとする光の神々達は、世界の覇権争いで闇の神タイタン族に勝利し、天空から人類の平和と繁栄を見守っていた。数百年経ち、イラクリオン国王ハイペリオン(ミッキー・ローク)が世界征服の野望を胸に強大な軍隊でギリシャの村を破壊。さらにタイタン族解放の鍵を握るエピロスの弓の所在を突き止めようと巫女のパイドラ(フリーダ・ピント)の行方を追っていた。ゼウスはハイペリオンから人類を守る救世主としてテセウス(ヘンリー・カヴィル)に全てを託す。真の勇者の資質を持つ彼はパイドラの言葉を通じて自分の使命を知ると、少人数の仲間とともにハイペリオンに立ち向かう。しかし極悪非道のハイペリオンとの戦いには過酷な運命が待ち受けていた。

なんと言おうか、私にとってはかなりアウェー気味な作品でもあった。確かにもの凄いド迫力な映像の連続で、壮絶なターセム・ワールド全開。これはスゴイ。ギリシャ神話ならではの退廃的かつ残酷な事象をCGで美しく表現しており、凝りに凝った構図のおかげで、どこを切りとっても絵になるような、よく言えばルネッサンス絵画を思わせる。鍛え上げた肉体の男達、美しい女達が石岡瑛子氏の衣装を纏い、そのデザインも独創的で壮大な世界観を支えている。

だが、映像の圧倒的なインパクトのせいか、ストーリーが奇想天外すぎて感情移入できなかった。まるで昨晩見た夢の続きかゲームを見ているようで、緻密なストーリー展開に引き込まれる経験はできず。また、とにかく残酷な殺戮シーンや拷問シーンが多い。ギリシャ神話だから仕方ないし、映画なのだからとは思うが、血生臭く残酷な戦いを写実的にCGで表現しているシーンが多くて、なんだかぐったりしてしまった。

とはいえ、妙に"キターッ!"という興奮の瞬間がいくつかある。クライマックスのテセウスとハイペリオンの戦いがそのひとつ。徹底的な肉弾戦で鬼気迫る演技だ。それと同時にゼウスら光の神と闇の神タイタンとの壮絶な戦いも同時進行する。この演出は力のこもった一番の見どころだ。ミッキー・ロークは残忍な悪役がかなりはまっていた。

大発見は主役のヘンリー・カヴィル。イケメンな上に過酷なトレーニングのおかげで彫刻のような体つき。それだけでなく目力があって演技も上手く、カリスマ性がある。スーパーマン役への抜擢は納得だ。伝統的なイギリス出身の俳優の洗練された男臭さがあり、ダニエル・クレイグ、クライヴ・オーウェン、ジェラルド・バトラーの系統。今後、上手く出演作品を選んだら間違いなくスター街道を歩み、15年後ぐらいにはジェームス・ボンド役にも選ばれそう。

111分、夢を見ていたような不思議な映画だった。2012年にはジュリア・ロバーツ出演の白雪姫の映画「Mirror, Mirror」が公開されるターセム・シン監督。映像の魔術師の活躍はこれからも続くようだ。(★★★☆☆)

-アメリカの著名な映画情報・批評まとめサイト「ロッテン・トマト」では:未採点

2011年11月11日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全世界同時ロードショー

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