「50/50」:27歳でまさかのガン宣告。生存率は50%。だからこそ見える人生の幸せ

以前、拙評「イケメンすぎない主役のほうが映画はあたる?!」で、申し訳ないが"イケメンではないが稼げる主役"の一人に挙げたジョセフ・ゴードン=レヴィット。典型的イケメンではないけれど、確かな演技力と普通っぽい愛くるしさで筆者含めファンも多く、「インセプション」や「(500)日のサマー」など幅広い作品に出演。来年公開の「ダークナイト ライジング」にも出演する超売れっ子の一人だ。その彼が、生存率50%のガン宣告を受けた27歳男子を演じる「50/50」。共演はセス・ローゲン。もともとコメディアンだが、映画の出演から脚本、プロデューサー業も手がけ、最近は米経済誌「フォーブス」で"ハリウッド一働いている男"と評された。その彼が、突然ガンを患ってしまった友人のウィル・レイサーに闘病生活を脚本にすることを薦め、この作品の映画化に至ったという。

アダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)はシアトルの公営ラジオ局で番組制作を担当する27歳。酒もタバコもやらないマジメな青年で、親友は、彼とは真逆の女好きで超お気楽な同僚のカイル(セス・ローゲン)。ある日、なかなかおさまらない腰の痛みのために病院にいくと、ある特殊なガンだと宣告される。なんと5年後の生存率は50%。アダムはカイルに伝えると、彼はショックを受けるも、半分も確率があるなんてまだ大丈夫と呑気に彼を励ます。アダムの画家の彼女レイチェル(ブライス・ダラス・ハワード)は献身的に看病するという。母親のダイアン(アンジェリカ・ヒューストン)は同居を提案。抗がん剤治療を始めたアダムは、同時にセラピーを受けるよう薦められ、まだ24歳のセラピスト、キャサリン(アナ・ケンドリック)の診察を受ける。刻一刻と進行する病魔に、アダムは平静を装うことできなくなる...。

不謹慎かもしれないが、このシリアスなコメディに、涙を流しながらもかなり笑ってしまった。突然一変したアダムの生活が、下ネタ満載の陽気さと、過酷なガン治療の現実と、心温まるロマンスと、ここで命が終わるかも知れない不安の、絶妙のバランスで語られる。難病モノではあるが、お涙頂戴の過剰な演出も演技もなく、自然に流れるストーリーは観ていて気持ちがいい。印象に残るのは、ジョセフ・ゴードン=レヴィットとセス・ローゲンの相性。超草食と超肉食のコンビが、ガンをネタに女の子をナンパしたり、抗がん剤でどうせ髪が抜けるのだからとアダムの髪を坊主にするシーンは、脚本家が闘病体験者だから笑えるのだが、キャスティングの良さが一段と光るところ。それにセラピスト役のアナ・ケンドリックもすごくいい。「マイレージ、マイライフ」での役を髣髴させる、マジメにキャリアを追うが恋愛イマイチのダメ女子ぶりに好感が持てた。

私事だが、約1ヶ月前に学生時代の、まだ若い友人がガンで亡くなり、毎日悲しみにくれていた時にこの映画の試写を拝見した。実際の闘病生活はもっと辛いものだろうが、この映画を観て少しだけ明るい気分になれた。多くの良質なアメリカの独立系映画が、全米での興行成績は良いものの、最近の日本の市場でヒットを飛ばすことが難しい為、公開に至らないのを無念に思っていたので、こんな秀作をまた日本で観ることができてうれしい。(★★★★☆)

-アメリカの著名な映画情報・批評まとめサイト「ロッテン・トマト」では:93点

12月1日 TOHOシネマズ 渋谷 TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー
続きを読む