プリンス、ツアーをキックオフ! マイケル、ディラン、カーズをカバー

1度は名義を'元プリンス'(かつてプリンスとして知られたアーティスト)と改名して活動していたプリンス。今はもちろんプリンスの名で活動中だが、もしかしたら今後は"ジェームス・ブラウン級のレジェンド・アーティスト"と人々は彼のことを呼ぶことになるかもしれない。

アルバムのリリースも何もなくツアーに出る80'sのスター達が多くいるが、その多くはただのノスタルジーでしかないと、彼程の人物なら解っているのかもしれない。しかし例えば、ジェームス・ブラウンやBBキング、ウィリー・ネルソンのようなアーティストのライブとなれば話は別だ。彼らのライブはただのノスタルジーではなく、匠の技とマスターピースの数々を目の当たりで披露する貴重な機会と呼べるだろう。

プリンスは、自身のキャリアをタイムレスなものにするために、ポップスの世界を自ら後にして久しいが、それはつまり彼が、既にブラウン達のような域に達してしまったからだ。先日始まったツアーの初日のトロント公演で、プリンスはそのことを見事に証明してしまった。

もちろん「パープル・レイン」は演奏したし(しかも15分というロング・バージョンで)、他のあまたのヒット曲も当然飛び出したが、観客はある特定の曲を聴きにきたのではなく、この偉大なアーティストがパフォーマンスする姿を観に来たのである。そもそも彼のレパートリーには名曲が多過ぎて、何を期待しようともそれが叶うという保障はないのだから。

ステージに登場したプリンスは前半、とにかくファンクなセットを繰り広げる。カリスマ性を発揮してロックスターのように振る舞うというよりは、いちバンド・リーダーのように、名サックス・プレイヤーのメイシオ・パーカーを加えた最新のニュー・パワー・ジェネレーションを牽引。「ミュージコロジー」「ポップライフ」、カーズの「レッツゴー」などが、自由自在なジャムを交えて繰り出された。
途中、追悼の意も込めて自身の「クール」にマイケル・ジャクソンの「ドント・ストップ・ティル・ユー・ゲット・イナフ」をマッシュアップ。観客が大盛り上がりした後は「愛の哀しみ」で本家の凄みを見せつける。「レッツ・ゴー・クレイジー」では、50'sロックンロールなアレンジを披露し、「1999」に突入(2011年にこの曲で盛り上がるというメタ感ったらない)。そしてお待ちかね「リトル・レッド・コルベット」へ。プリンスのように常に変化し続けるアーティストは、この不動の名曲でさえも変化させてゆくのだ。次第にじわじわとスローなアレンジへと変化し、やがてあの爆発的なギター・ソロが飛び出すという圧巻の流れだった。

その後はアデルもカバーしたディランの「メイク・ユー・フィール・ラヴ」を圧倒的な演奏で繰り出し、「パープル・レイン」のシャワーで観客を熱狂させると、その後はなんと6度(!)ものアンコールに応えて「キッス」「ウェン・ダヴス・クライ」「アイ・ウッド・ダイ・4U」「ダーリング・ニッキ」「サイン・ザ・タイムス」「ザ・モースト・ビューティフル・ガール・イン・ザ・ワールド」、そしてピアノの前に座ると「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」のカバーを披露。最後には81年の『Controversy』から「レッツ・ワーク」という渋い選曲で締めくくった。

「最後は皆で大合唱できる代表曲で締めくくって欲しい」というのが観客の願いだったのかもしれないが、プリンスは敢えてこの選曲で幕を閉じることで、もっともっと聞きたいと思わせたままショーを終わらせるのだ。いやはや、お見事! 全てをプリンスの掌のうちで転がされるままの一晩だった。

プリンスは過去の伝説などではなく、音楽シーンに不動の存在として君臨し続けるのだろう。


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