「リアル・スティール」:父と子の厚い絆に涙腺も緩みっぱなし。

街もクリスマスの準備が始まり、この季節ならではの映画がこれから多く公開される。まだ汗ばむ頃にこの映画を拝見させて頂き、アメリカ公開は10月初旬だったが、まさにこれからの人恋しい冬に観るべき心温まる作品だ。スティーブン・スピルバーグが11年も構想を練り、ロバート・ゼメキスが製作総指揮に加わり、主演はヒュー・ジャックマン。そして"ロボットがボクシング"。普通なら、"うーん、好みじゃないな~"と思うのだが、意外にも自分の中の熱い血が燃え滾り(?)かなりジーンときた。
2020年、リングの上で闘うのは高性能のロボット達。元ボクサーのチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は夢も仕事もなく、ボクサー時代の恩師の娘ベイリー(エヴァンジェリン・リリー)に支えられ、ロボット格闘技のトレーナーとして細々と生計を立てていた。借金まみれの彼のもとに、昔の恋人が11歳の息子マックス(ダコタ・ゴヨ)を残して亡くなったと連絡があり、裕福な叔母夫婦が養子にしたがっていることを知る。したたかなチャーリーは親権を渡す代わりに彼らから大金を引き出す取引をし、夫妻が旅行中の2ヶ月間だけ、マックスを預かることにする。なんともぎこちない二人。ある時、彼らはゴミ捨て場でスクラップ同然の旧式ロボットATOMを発見。型式も古く、スパーリング用のロボットだが、相手の動きを真似して闘い方を学ぶシャドー機能がついていた。マックスはATOMを格闘用ロボットにしたいと言い張る。チャーリーは反対するものの、昔の自分を思い出し、マックスの願いを聞き入れ、ATOMのトレーナーとなる。そして二人とATOMは史上最強のロボット、ゼウスとの戦いに挑む。

確かにロボットの戦い云々はかなりアウェー。しかし、ロボットものと侮るなかれ。ハリウッド伝統の"戦う父と子"の強い絆が物語としてしっかりと軸にあるから、安心して観ていられる。ヒュー・ジャックマンの骨太な演技がいい。モデルのようなルックスなので、落ちぶれた父親というより「GQ」の1ページのように見えてしまうが、夢破れたならず者から、息子との再会を通して再起を賭ける父親を熱く演じているし、その姿がセクシーでもある。そしてオーディションで息子役を掴んだダコタ・ゴヨ。あまりにキュートで、純粋で、一生懸命。こんな息子が欲しい!父をもう一度晴れの舞台に立たせ自信を取り戻そうとけなげに努力する姿に、世のお父さんならずとも泣けてくる。「ロッキー」と比べる人も多いが、個人的には「オーバー・ザ・トップ」で意外にも感動したことを思い出した。

ロボットやゲームの先進国である日本への傾倒、モチーフが多い。マックスが日本語を話したり、妙な漢字をペイントしたロボットがいたり、主役ロボットの名前ATOMだったり。日本市場を意識してのことだろうか。またロボットの戦闘シーンも大迫力で、ロボットがパンチを食らってるのに、顔をしかめる自分に気づく...。

アメリカの批評まとめサイト「ロッテン・トマト」では、批評家の点数は58点、一般は82点だった。大衆作品は辛口な批評家評を受けるも一般人気は高いという傾向にあるが、この映画、大御所のロジャー・エバートが概ね高評価。私も今回はエバート先生に賛成かも。確かにハリウッドらしい作品だけど、ロボットものだといって毛嫌いせずに観て正解。いろいろあった2011年の年の瀬にふさわしい、「親子っていいなあ」という思いにふけり、スカッと泣いて、元気になる娯楽大作だ。(★★★1/2☆)

12月9日(金)丸の内ピカデリー他 全国ロードショー
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