レゲエ・プロデューサー、フィリップ・"ファティス"・バレルが死去

ジャマイカのレゲエ・プロデューサー、フィリップ・"ファティス"・バレルが12月3日、心臓発作で亡くなっていたことが、<New York Times>で報じられた。57歳であった。

バレルは20年間に渡りジャマイカの若きアーティスト達を発掘し、サポートし続けてきた人物だ。サンチェズ、ピンチャーズ、ルチアーノ、シズラなど今日活躍するトップ・レゲエ・アーティストたちも、彼がマネージメントや、プロデュースを行ってきたのである。

キングストンのトレンチタウン地区で生まれ育ったバレルは、1984年にレーベル<ライオンズ・アンド・キングス>を設立。レゲエの象徴であり精神的支柱だったボブ・マーリーが亡くなり、次第にラジオではダンスホール・レゲエが台頭しはじめたシーンの中で、ジャマイカ音楽のルーツを守ろうと意欲的であったバレル。世に溢れるレゲエ音楽がエレクトロ・サウンドに移行してゆく中で、彼は生演奏にこだわり続け、優れた演奏者達を雇い続けたという。その後、彼は80年代の終盤にはレーベル<Xterminator>を設立。優秀なジャマイカン・ミュージシャン達の名前が、そのカタログには連ねられていた。

彼の妻であるカルメリータは、亡き夫の音楽活動を振り返ってこう語っている。「フィリップは、いい加減さや無意味な悪ふざけを音楽の中から排除しようとしていたの。特に性的に過剰な表現なんかは、頑なに拒否し続けていたわ。彼は文化としてレゲエ音楽を尊重していたから、その音楽が世界中の誰でも聴くことができるように、クリーンで真っ当なものであって欲しいと願っていたの」

歌手のココア・ティーとジンバブウェを訪れ、帰国後間もなく発作に襲われて入院していたバレルだが、亡くなる2週間前には退院していたようだ。彼には妻と姉と8人の子供達が残されている。文化人として健全なレゲエ音楽シーンを守り続けた彼の冥福を祈りたい。


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