肉食系女子の"らしい"最期の過ごし方:「私だけのハッピーエンディング」

ここのところ、なぜか"突然のガン宣告"映画が多い気がする。泣ける映画がウケるからなのか、人生のプライオリティを見直すテーマが評価されているのか。今回は、ラブコメの女王、ケイト・ハドソン演じる肉食系女子が、彼女らしい最期を過ごす、悲しくもスウィートなファンタジー作品。病気や喪失感とは無縁の人生に、突然のガン宣告。自分ならどうするだろうか?
マーリー(ケイト・ハドソン)は広告代理店勤務のキャリアウーマン。仕事も充実し、姉のルネ(ローズマリー・デウィット)、親友のサラ(ルーシー・パンチ)など、大事な人達に囲まれ、楽しく忙しい日々を過ごしている。真剣な恋愛はせず、深刻な物事もユーモアで交わし、独身生活を謳歌。ある日、体の不調を訴え病院にいくと、イケメン医師のジュリアン(ガエル・ガルシア・ベルナル)が彼女の検診を担当。遊び半分で彼の気をそそるような行動をとるが、ジュリアンはマーリーにガンであることを告げる。友人や母(キャシー・ベイツ)はとまどうばかりだが、主治医のジュリアンは、マーリーを患者としてだけでなく一人の女性として静かに見守る。しかし愛を確かめ合う二人に残された時間はあとわずかだった。

予想通りの典型的な甘~いラブ・ストーリー。楽しく、かつ癒される優しい話として演出されているので、泣ける場面はあるものの、号泣はしない。辛いガン治療の現実はあまり描かれていないので、好き嫌いが分かれるところだろう。ケイト・ハドソンが健康的すぎて重篤には見えないし、イケメンの医者など出会うはずがないし...。

そういうことには目をつぶったとして、主題は余命を人間らしく楽しく、愛する人達に囲まれて生きようということだ。これについては非常に考えさせられた。好感度抜群のケイト・ハドソンが演じる現代女性が主役だから、女子は感情移入しやすく、ひとごととは思えないのだ。自分がある日突然そんな宣告をされたら、と思うと、観終わった後、誰かと語りたい気持ちを抑えられなくなる。

正直、前半部分は物足りない。彼女の両親、姉、友達との関係、仕事での成功という「SATC」でさんざん見飽きたライフスタイルをさらっとみせているだけで、少々、退屈。
ただ、マーリーがジュリアンと出会ってからはテンポがいい。私はガエル・ガルシアの10年来のファンなので、体の小さい彼とガタイのいいケイト・ハドソンはなんだかアンバランスだし、彼らしくない普通の役どころに、若干違和感を覚えたのだが、ガエル演じる医者が、治療だけではなく、恋人に人間らしい最期を迎えさせてあげようと頑張る一途で健気な態度が愛おしくて、なんだか泣けてきた。ああ、自分の病床にもこういうイケメン医師がいたら、と切に願う。

話はありきたりで、映画としての出来はともかくとして...なのだが、延命治療などせず人間らしい生き方をするのも一つの選択肢だと、あまりシリアスでないファンタジーな手法で見せてくれていたので、なぜか心が穏やかになった。子供や家族は持てなかったけれど、最期に一番大事な友達や家族、そして恋人と楽しい時を過ごす選択をした主人公には、性別・年齢問わず多くの人が共感するのではと思う。(★★★☆☆) 

12月17日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
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