ピクシーズのJ・サンティアゴ、バンドの過去・現在・未来を語る

1980年代後半から90年代初頭にかけて活躍した米オルタナ・ロック・バンド、ピクシーズ。1993年に解散したものの2004年に再結成し、カムバック・ツアーも成功を収めた。初期のファンだけでなく、若い世代をも魅了し続けるピクシーズに、<Spinner>がバンドの過去や現在、そして未来を聞いてみた。

Spinner: オルタナ・ロックの復活について、どう思いますか? このムーブメントには、ピクシーズもかなり貢献していると思うのですが。
ジョーイ(・サンティアゴ): 喜ばしいと思うべきだよね。だけど俺たちは、あまりこれについては考えないんだ。俺たちは、影響を与えることができたラッキーなバンドの1つに過ぎないってことさ。

Spinner: 文化的なムーブメントが確立されたという感じですか?
ジョーイ: 俺たちは(1988年の1stアルバム)「Surfer Rosa」のリリース後からツアーをしていて、イイ感じのファンがついてきたことをわかっていた。いわゆる、はみ出し者から支持を集めていたんだ。そして有名になったのさ。ピクシーズのオーディエンスは、バンドのメンバーよりも筋金入りの"オルタナ・ロック・スター"だったね。こちらが感心するほどだったよ。

Spinner: シーンをけん引していたという実感はありましたか?
ジョーイ: わからないな。ファッションの面ではそうかもしれない。それはロックの一部でもあるからさ。チャールズ(・マイケル・キットリッジ・トンプソン四世、ブラック・フランシスの本名)がフランネルのシャツを着まくっていたことがあった。それからみんなもフランネルを着るようになったんだ。音楽的には...みんな、これまでよりも大胆になっていたんじゃないかな。当時はハスカー・ドゥやR.E.M.がいて、俺たちは彼らに憧れていたんだ。

Spinner: 10年もの間シーンを離れていて、2004年に戻ってきたときの感想は?
ジョーイ: 最高だったね。(再結成後の幕開け的ステージとなった)コーチェラ・フェスが、どれだけスゴイのかもわかっちゃいなかった。ちょっとナーバスになったね。

デヴィッド(・ラヴァリング): コーチェラの観客の中には、俺たちの初期の活動時期には生まれていなかった世代もいたんだ。衝撃すら覚えたよ。

Spinner: 再結成後のツアーのオーディエンスは、若いファンで埋め尽くされていましたね。
ジョーイ: 若い子たちがライブに来てくれるのは、とてもクールなことだよね。大学のラジオでバンドのことを知ってくれたのかな。俺たちの存在は、彼らにとって"画期的なもの"になったのかもしれない。

Spinner: それは間違いないでしょう。ピクシーズは、セックス・ピストルズと同じやり方で文化における変化を象徴しているんです。
ジョーイ: ある意味、政治みたいなものだよね。自分と同じような音楽が好きな人と付き合いたいだろ? 個人的には、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが理解できない奴とはお近づきになりたくないしな。(理解できない相手に対しては)「お前の頭ん中、大丈夫か?」って感じだよ(笑)。

Spinner: 現在のインディーズ・シーンに、ピクシーズはどれだけ浸透していると思いますか。
デヴィッド: 俺にはわからない。「これを聴いてみろよ。こいつらはピクシーズのサウンドをパクってるぜ」って言う友達もたくさんいる。今はすべてがレトロ調なんだ。

Spinner: 現在のアングラ・バンドで、20年後もアルバムを引っ提げたツアーができるバンドはいますか?
ジョーイ: グランダディは解散したの? 彼らが再結成すれば、かなりの大物になると思うけどな。2003年のアルバム「Sumday」は傑作になっただろうに。アーケイド・ファイアの「Funeral」も良かった。

Spinner: アーケイド・ファイアが「The Suburbs」でグラミー賞の年間最優秀アルバム賞を獲得したのには、ピクシーズも貢献したと言われていますよ。
ジョーイ: 本当に? 俺たちの2枚目のアルバム「Doolittle」(1989年)を思い起こさせるな。これはチャートでも健闘したし、「ローリング・ストーン」誌の「歴代最高のアルバム」にも選ばれたしね。

Spinner: 「Doolittle」が完成したとき、大ヒットすると思いましたか?
デヴィッド: 気分は良かったね。これまでで最高の作品を作ったと思った。

ジョーイ: ヒットするかどうかはわからなかったけど、聴く人が「なんだこれ、スゴイじゃねえか!」と思うだろうなと確信していたよ。

ピクシーズ 2009年に行なわれたブリクストンでのライブの模様

Spinner: バンドは長いこと新作を発表していませんが、その理由は?
デヴィッド: ツアーに出るだけで十分満足しているからさ。需要もあるから、かなりのステージをこなしているしね。(新作については)何年も話し合いを重ねてきたけど、まだ何も生まれていないんだ。

ジョーイ: 正直なところ、俺たちは新作を作ることで衝突するんじゃないかと恐れていたんだ。まあ、ケンカになるのは俺とデヴィッドじゃなくて、他の2人(ブラックとキム・ディール)だと思うけどね(笑)。

デヴィッド: これまで培ってきたことを守りたいんだ。バンドが何かをやるのなら、良い作品にしたほうがいいだろ? 再結成から7年になるけど、新作を出そうと決断するのが難しくなっているんだ。
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