「赤い点」が成功の証...高校生が考えた、カブトガニの特性を使うがん治療ワクチン
天然記念物のカブトガニは生きた化石と呼ばれ、2億年前からその姿はほとんど変わっていないと言われます。その強い生命力を持つカブトガニの特徴を、がんの治療に使えないか...と考えた少年がいました。
タコや染料の入ったバケツと水槽を持参してジョージタウン大学の廊下を歩き、その後、物見高な科学者たちが大勢「あれがタコ研究少年だってさ」と見守る中で実験をした日を、ライリー・エニス(Riley Ennis)さんは一生忘れない、と言います。その時、彼はがんの治療法を探求する高校生でした。
子供の頃から海が好きだったというエニスさんは、海洋生物への関心から見ていた科学スペシャル番組『NOVA』でカブトガニのある特性を知りました。彼が高校1年生の時です。
カブトガニの血液には、特殊なタンパク質が含まれています。このタンパク質は、名札を付けるように大腸菌などの有害なばい菌を検出し、「これはばい菌」とレッテルを貼った菌を凝集しゲル化して破壊する能力があるそうです。
この事実を知ったエニス少年は考えました。「このカブトガニがばい菌につける『名札(タグ)』をがん患者の腫瘍細胞に結びつけたら、カブトガニがばい菌を自ら破壊するように、がん患者自身の免疫システムが腫瘍を(見つけて)破壊するようにできるだろうか?」
15歳だったエニスさんは、通っていた高校でこのワクチンを開発。脊椎動物での実験は許されていなかったため、タコとヒトデで実験しました。
緑色に染めたワクチンは、がん細胞からとった成分と、カブトガニがばい菌の「名札」として使うタンパク質成分を混ぜて作ったもの。つまり、「私は排除すべき悪者」と書いてあるターゲットです。そして免疫細胞の反応を見るため、その活動を示す赤い染料を同時に注射します。
最初に注射されたのは、がん細胞を含むワクチン。次に、免疫細胞の動きを追う赤い染料。仮説が正しければ、免疫細胞(赤)は、ワクチンが注入された箇所(がん)に集まるはずです。
大きなスクリーンに映し出された画像を見守り、室内は沈黙、空気が止まり何時間も経ったように思えました。そして数秒後...タコの体にはっきりと現れたのは、「赤い点」。
その後エニスさんはインテル(Intel Corp.)主催の国際科学・工学展で細胞分子生物学部門賞を受賞し、大学で講義などもしましたが、彼にとって一番重要な瞬間はそのどれでもなかったそうです。
高校2年生の時、アメリカがん協会(American Cancer Society/ACS)のイベント、"Relay for Life"で研究に関してのスピーチを頼まれたエニスさんは、演壇を降りた後小さな女の子に呼び止められました。
女の子はエニスさんに聞きました。「私のこと、治せるようになるの?」
それが、自分のやっていることを大局的に見つめ直した瞬間でした。
ナノ粒子がどうの、ということだけではなく、それは人々の希望につながっていると気付いた、と語るエニスさん。出会った乳がんを患っている、母親であり続けたい女性。もっと生きて、娘の結婚式に立ち会いたい父親。研究に注ぐ時間が全て、そんな人たちの希望につながるよう、頑張って治療法を確立したいそうです。
現在エニスさんは、米ニューハンプシャー州のダートマス大学に在学し、研究を続けています。彼がさらなる研究開発・トライアルのため設立した新会社、ImmudiconのHPはこちら。
もう少し長いビデオインタビュー(約30分)で、大きかったラットの腫瘍が小さな赤い点に凝縮したようす(3:45付近)はこちらで見られます。
記事元:Vimeo(Focus Forward Films)、Dartmouth Now、Fox News
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タコや染料の入ったバケツと水槽を持参してジョージタウン大学の廊下を歩き、その後、物見高な科学者たちが大勢「あれがタコ研究少年だってさ」と見守る中で実験をした日を、ライリー・エニス(Riley Ennis)さんは一生忘れない、と言います。その時、彼はがんの治療法を探求する高校生でした。
<カブトガニの太古の知恵をがん治療に?>

カブトガニの血液には、特殊なタンパク質が含まれています。このタンパク質は、名札を付けるように大腸菌などの有害なばい菌を検出し、「これはばい菌」とレッテルを貼った菌を凝集しゲル化して破壊する能力があるそうです。
この事実を知ったエニス少年は考えました。「このカブトガニがばい菌につける『名札(タグ)』をがん患者の腫瘍細胞に結びつけたら、カブトガニがばい菌を自ら破壊するように、がん患者自身の免疫システムが腫瘍を(見つけて)破壊するようにできるだろうか?」
15歳だったエニスさんは、通っていた高校でこのワクチンを開発。脊椎動物での実験は許されていなかったため、タコとヒトデで実験しました。
緑色に染めたワクチンは、がん細胞からとった成分と、カブトガニがばい菌の「名札」として使うタンパク質成分を混ぜて作ったもの。つまり、「私は排除すべき悪者」と書いてあるターゲットです。そして免疫細胞の反応を見るため、その活動を示す赤い染料を同時に注射します。
最初に注射されたのは、がん細胞を含むワクチン。次に、免疫細胞の動きを追う赤い染料。仮説が正しければ、免疫細胞(赤)は、ワクチンが注入された箇所(がん)に集まるはずです。
大きなスクリーンに映し出された画像を見守り、室内は沈黙、空気が止まり何時間も経ったように思えました。そして数秒後...タコの体にはっきりと現れたのは、「赤い点」。
<大きかった腫瘍が赤い点に凝縮したラット>

高校2年生の時、アメリカがん協会(American Cancer Society/ACS)のイベント、"Relay for Life"で研究に関してのスピーチを頼まれたエニスさんは、演壇を降りた後小さな女の子に呼び止められました。
女の子はエニスさんに聞きました。「私のこと、治せるようになるの?」
それが、自分のやっていることを大局的に見つめ直した瞬間でした。
ナノ粒子がどうの、ということだけではなく、それは人々の希望につながっていると気付いた、と語るエニスさん。出会った乳がんを患っている、母親であり続けたい女性。もっと生きて、娘の結婚式に立ち会いたい父親。研究に注ぐ時間が全て、そんな人たちの希望につながるよう、頑張って治療法を確立したいそうです。
現在エニスさんは、米ニューハンプシャー州のダートマス大学に在学し、研究を続けています。彼がさらなる研究開発・トライアルのため設立した新会社、ImmudiconのHPはこちら。
もう少し長いビデオインタビュー(約30分)で、大きかったラットの腫瘍が小さな赤い点に凝縮したようす(3:45付近)はこちらで見られます。
記事元:Vimeo(Focus Forward Films)、Dartmouth Now、Fox News
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