『今日子と修一の場合』奥田瑛二監督 「この映画は瞬発力で始まった」 


奥田瑛二監督第5作『今日子と修一の場合』(10月5日公開)は、ふたりの男女を軸に、大震災を経験した日本を生きる若者を描く。冒頭から印象的に描写されるのが「道」。フェンス越しに見える線路を走る列車、人々が行き交う道路や交差点。今日子もこの道を歩いてアパートに帰ってくるし、少年刑務所を出た修一も、道を歩いて就職先の工場へと歩を進める。良いことも、良くないことも、道を通して起こる。行きつ戻りつ、ある時は立ち止まり、それでも歩を進めようとするふたり。
「『今日子と修一の場合』映画化は瞬発力で始まった」と語る奥田瑛二監督のインタビューをお届けしよう。


南三陸で「映画を撮ります」と宣言!?

始まりは、東日本大震災という未曽有の体験をした日本人として、何かをやらねばという初期衝動だった。「震災後、俳優の仕事を続けていましたが、こんな時に浮かれていられるかという空気感が日本を覆い、自分も含め、物を作る人は皆そんな思いを抱えていた。何が出来るのかと考え続け、演じることではないと思った。何故なら、自分は監督だから」と振り返る。
震災から10ヵ月後、南三陸を訪れる機会を得る。「何もかも流され、わずか80人だけが生き延びた村で、自分たちの力で頑張っている若者たちの顔が見たくて」現地に向かった。
南三陸で目にした光景には驚愕した。この映画を作った理由は、南三陸の姿を「見てしまったから」だと言う。この時、日々考え続けていた「何が出来るか」に答えが出た。荒涼とした光景を前に、悶々としていた気持ちは吹き飛び、「撮るぞ」と即座に決意。現地で会った地元の人達に「映画を撮ります。準備をするために東京に帰ります」と宣言。2泊3日の予定を1泊にし、東京へ戻る車中8時間でストーリーをまとめた。考え続けてきたことが一気に爆発したのだ。帰京し、妻の安藤和津氏に「映画を撮る。金はないが今撮らなければならないんだ」と伝えた。
その日から1ヶ月、猛スピードで撮影準備を整え、『今日子と修一の場合』は、南三陸を歩く主人公たち、それぞれの描写から始まった。



天職、映画監督に対するこだわり。

監督を志したのは、神代辰巳監督の遺作となった1994年公開の『棒の哀しみ』に主演、主要映画賞で男優賞を総ナメしたことに拠る。「俳優として一人前になれたのだから、それを生涯続けるというのが普通かも知れない。でも、俳優は夢の領域から出なかった」と言う。やがて、映画監督という表現への挑戦こそ、天職だと考えるようになった。 奥田はオリジナルにこだわる。「よく、"誰々曰く..."と引用する人がいます。良い言葉だとは思いますが、それに憑依されるのは危険。オリジナルな言葉が口から出てくることの方が重要で、素敵なこと」だ。そのこだわりは、自分に課したルールにも現れている。「映画は観ますが、小説は絶対に読みません。文字から想像するものは、潜在意識に入り込んで、記憶の貯蔵庫に残ってしまう。台本を書いていると気付かないうちに過去に読んだ小説のイメージが出てきて、自分のアイデアと勘違いしてしまう」と、20年以上小説は読んでいない。

今日子役の安藤サクラと、


修一役の柄本祐


未来を生きる若者に託した「真実の愛」について。

奥田は若者を描きたいと言う。「自分が経験し、失くしてきたものを託せるのは若者。これからの将来を背負う、エネルギーの根幹」こそが若者だ。今回主演に起用したのは、実娘の安藤サクラ、義息となった柄本佑。成長著しいふたりの個性的な俳優だ。
今日子は、保険の外交員として家計を支える漁師の妻。セールスの実績を上げるために、上司や顧客に身体を許すことになった彼女は、家族から見放され、息子の親権まで奪われてしまう。
修一は、リストラされた父の暴力から母を守るために事件を起こし、少年刑務所に収監されてしまう。行く当てを無くしたふたりは、それぞれの道を通って東京へと辿り着く。
「心に受けた津波」を背負い、絶望的な環境を背負った若者に託したのは、「真実の愛」だという。「絶望の向こうには未来がある。人として強く生きなければならない試練」がこの映画のテーマ。「男女における真実の愛、家族における真実の愛。真実の愛なんていうと、甘いことを言って...と思われそうですが、強く生きるために絶対に必要なもの」だと思う。修一が未来に向かう決意は、「全てが空っぽになった。家も街も親も全てなくなった。自分も空っぽ。でも強くならなければ生きていけない。大学受験もその一つだ」というセリフに込めた。
「今日子の場合、それは息子。自殺から踏みとどまり、仮設住宅を訪ねます。そこでたった一つ、自分をつなぎとめていた血のつながりを見つける」ことになる。その先、どんな過酷な人生があったとしても、彼らは生きていく。その未来への原点こそが、「真実の愛」なのだ。



最後に、『今日子と修一の場合』のもうひとつのテーマ、家族について尋ねると、「ある意味で一番厄介なものかも知れません。世の中で一番緊張して接しなければいけない。我が家は常に超緊張感のある家族です。困るのは、どうしてそんなに仲が良いのですか、と聞かれた時です。自分が暇で、娘たちが女優や監督の仕事を必死でやってたり、その逆もある。自分が忙しい時に、家族が楽しそうにしていて「なんだよ」と思う時もある。でも、今回のように家族全員で一緒の事ができる機会は幸せだと思います。そこには変な緊張感はありませんから」と微笑んだ。映画で結ばれた奥田家にも、「真実の愛」があるに違いない。

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映画『今日子と修一の場合』は、10月5日(土)より新宿ピカデリー他全国ロードショー

写真:(C)ZERO PICTURES

【参照リンク】
・『今日子と修一の場合』公式サイト
http://kyokoandshuichi.ayapro.ne.jp/

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