【ビジネス誌読み比べ】 経営者向けは『日経ビジネス』、初心者は『東洋経済』

稲田豊史

経済オンチにとっては違いがサッパリわからない。それが週刊経済誌の世界です。大きさもページ数も似たり寄ったり。巻頭特集はどれも投資や景気や企業研究。しかも書いてあることは結構ムツカシイ......。というわけで、本当に違いがないのか、がんばって各誌を読み比べてみました。


『週刊ダイヤモンド』 ダイヤモンド社/定価690円
『週刊東洋経済』 東洋経済新報社/定価690円
『週刊エコノミスト』 毎日新聞社/定価600円
『日経ビジネス』 日経BP社/定価600円(原則、定期購読のみ)*定期購読専門なので、これだけアマゾンで取り扱っていません

・ドイツ車と軽自動車

うちの近くの書店で『日経ビジネス』見かけないんだけど、というあなた、その通りです。実は『日経ビジネス』だけが自宅直送の定期購読販売なので、ビジネス街の大書店や一部ターミナル駅の売店以外には置かれていません。にもかかわらず、この4誌のなかでは最もブランド力のある、週刊経済誌のなかのトップエリートです。4誌中、『日経ビジネス』だけが横書き、左綴じという欧米スタイルなのは、俺は違うぞ感を醸しだしています。

それゆえ、誌面の印象も違います。『ダイヤモンド』『東洋経済』『エコノミスト』がカラフルな色使いやグラフィカルな図表、煽り系の太文字見出しで誌面を埋め尽くし気味なのに対し、『日経ビジネス』はスッキリ系。白みが目立つレイアウトです。がつがつしていない、その落ち着いたハイクラス感はまるで高級ドイツ車のようなたたずまい。車内にティッシュ箱やディズニーのぬいぐるみとか置きませんから俺ら、ってな。

ちなみに、『ダイヤモンド』『東洋経済』『エコノミスト』の誌面は、縦書き・本文4段組と共通の体裁ですが、『ダイヤモンド』だけ本文の文字が若干大きく、ぐいぐい迫ってくる印象です。みっちり詰めこまれた大きな文字は、さながら法定サイズぎりぎりまでぱつんぱつんに太らせた軽自動車の趣なり。

・経営者向けの『日経ビジネス』、初心者は『東洋経済』がオススメ

毎号の特集テーマは各誌ともそれほど大きくは違いません。基本は投資、流通、ホットな企業研究系のネタが多く、昨今のトレンドは読者の親世代を視野に入れた「介護」。しいて言うなら、『東洋経済』は他誌に比べてIT企業、ネット、スマホネタが厚く、『エコノミスト』は投資テーマが多い傾向が見えますが、連立政権内の各党マニフェスト並みにささやかな違いです。

ただ、その語り口は4誌ともキャラが出ています。

『日経ビジネス』は、4誌のなかではもっとも上から目線です。現場ではなく経営者寄り、国内市場動向ではなく世界情勢寄り、事例の細部分析ではなく俯瞰ビジョン寄り、といった具合に。また、広告ページが終わった最初のページで、いきなり「編集長の視点」ドーン!なのも『日経ビジネス』スタイル。「最初に言っときますけど、うちはこういうポリシーですから!」的なあふれる自信は、ビジネスリーダーの高い自意識を触発すること間違いありません。

『東洋経済』は対照的に、もう少し初心者にやさしいつくりです。中特集では、ゴリゴリに生真面目な経済・ビジネスだけでなく、比較的スノッブなトレンド情報的なトピックも差し込んできます。ニュース記事が他誌に比べて気持ちコンパクト志向なのも、とっつきやすくて善し。

『エコノミスト』は新聞社が発行しているせいか、モノクロ、2色ページがまるで夕刊紙の文化面みたいです。林家正蔵の読書日記に代表される息抜きスポットはまさしく文化面テイスト。また、モノクロページのニュース記事は、新聞の国際面や週刊誌をブレンドしたような実直ルック。実家の居間に広げっぱなしの新聞を思わせる安心感が、そこはかとなく漂います。

『ダイヤモンド』は中道保守、ぶれないコンサバと言えるでしょう。『東洋経済』が「家族主義っぽくない先端ビジネスマン向け」(主観です)なのに比べて、『ダイヤモンド』は「家族持ち家長のトータルプランナー」(主観です)。連載陣として抱えている池井戸潤、落合博満といったド王道ぶりは、隙がないとしか言いようがありません。

・金持ちケンカせず

ところで、『東洋経済』と『ダイヤモンド』の定期購読者にはスゴい付録というか特典がついています。『東洋経済』は1997年以降、『ダイヤモンド』は1999年以降のバックナンバーが、PCやスマホなどで自由に読めてしまうのです。しかも無料で。もちろん最新号も電子版で読めます。

じゃあ残りの2誌はと言いますと、特にそういった定期購読サービスはなし。逆に『日経ビジネス』なんて、最新号の電子版を読むには定期購読料に加えて毎月500円追加料金がかかってしまいます。このあたりはやはりトップエリートのプライド、さすがの強気。安売りはせんぞと。定期購読誌だけに、書店で棚の取り合いなんかどこ吹く風。金持ちケンカせずなスタンスが最後までクールな『日経ビジネス』なのでした。

(稲田豊史)

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