うちの社長にも読ませたい! 野球マンガ「キャプテン」に学ぶマネジメント論

稲田豊史

ある企業が誕生して間もない段階と、社員が増えて大組織化した段階とでは、トップに必要な資質がまったく変わってきます。そして、ちばあきおの野球マンガ「キャプテン」ほど、それをわかりやすく描いた作品はありません。


「キャプテン」の連載は1970年代後半、TVアニメ化は80年代。元阪神タイガースの新庄剛志も大ファンだったという名作です。

「キャプテン」が普通の野球マンガと違うのは、主人公であるチームのキャプテンが毎年のように代替わりし、合計4人のまったく異なる采配が1作品内で描かれるという点です。

劇中で歴代キャプテンが率いる墨谷二中ナインは、年を追うごとに強くなり、部員が増えていきますが、これは年々売上がアップし、社員が増えていく企業の姿そのもの。つまり、各キャプテンは企業の各成長段階における「社長」に見立てることができるのです。

初代キャプテンの谷口に、マネジメントという概念はありません。キャプテン自ら、無言で死に物狂いの努力をして血ヘドを吐き、部員は彼の背中を見て育ちます。これは会社が法人化される前の、徒弟制にも近い原始的な集団作業の形態です。

2代目キャプテンの丸井は、根性論と心意気でチームを率います。ただ、人望はありますが計画性はありません。仲間とともに起業して間もない、社員に好かれる人の良い社長のようです。しかし事業計画が甘いため、なかなか組織を成長させることができません。なかよしグループの気分が抜けない、典型的な中小企業です。

3代目キャプテンのイガラシは、理論と戦術で大組織を率いる能力者ですが、時に冷徹な経営判断を行うので、現場からは少し距離があります。また、部員の中で最も優秀な選手でもある彼は「プレイングマネージャー」、つまり現場にも携わるトップです。大企業には成長しましたが、現場叩き上げのプロパー社員による経営者が率いることのできる限界は、このあたりでしょう。

4代目キャプテンの近藤は天才肌。才能はありますが、ムラが多い。彼の美点は、現場監督は別の人間に任せ、後輩を育てるという長期ビジョンを提示すること。組織の象徴的存在として君臨するのです。これは、老舗企業が市場飽和によって行き詰まり、異業種のベンチャー企業に買収されて、若い社長に首がすげ変わったのと同じ。新社長は古参社員の反発を招き、現場のなんたるかも知りませんが、柔軟なひらめきと先見性によって、組織を新しいフェイズに連れて行ってくれるのです。

では最後に、4代目キャプテン近藤の父による、松下幸之助クラスの超絶名言で本稿を締めくくりましょう。「自分が卒業したあと、どのようなチームをのこしたかによって、キャプテンとしての価値がはかられる」。うちの社長にも読ませたい!

(稲田豊史)

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