働く男のスクリーモ vol.1 「長距離運転中の怪奇!アシッドアイ!」



僕はここ5年くらい「神聖かまってちゃん」というバンドのマネジメントのお仕事をしています。

もちろん何かと頭も使う仕事なんですが、まあ基本的に肉体労働なんです。
特に車の運転です。やっぱりロックバンドはツアーをやりますからね。
そうでなくても、神聖かまってちゃんのボーカルのの子くんは千葉に住んでいて、東京から車で片道2時間くらいかかるんですよ。送り迎えしたら2往復で8時間くらいなわけで、それって東京から大阪を越えてさらに先へ行ける時間です。
取材がいっぱいあるときなんかはもう、自分はマネージャーというか運転手なんじゃないかというくらいの時期もあって。

最近は会社に人が多少増えて、ちゃんと分担できているんですが、かまってちゃんと一緒にやりだした最初のほうは大変でした。
そもそも自分自身、マネージャーの仕事というのも経験があったわけじゃないので手探り状態だったうえ、会社に車を運転出来る人が僕しかいなかったんですよ。厳密に言うと、ひとり免許取りたての上司がいたんですけど、まだ若葉マークだし、「裸足にならないと運転出来ない」っていう、プロゴルファー猿みたいな状態で、どうしたらいいんだっていう。

しかも、その当時はまだかまってちゃんも新人で予算がありませんから、遠征先で泊まれない、つまり、早朝からひとりで運転して地方へ行って、ライブして、夜中ひとり運転で帰って来るっていう0泊2日の過酷な状況も生まれるわけです。

あれは2010年の春頃だったか、はじめて神聖かまってちゃんが仙台でライブをやることになった時なんですが、そのまま翌日神奈川県の三崎っていうところで昼間からやるイベントに移動する、という過密行程が発生したことがあったんです。

その時はメンバーは別移動だったので、朝ひとりスタッフのナカウチさん(無免許)を乗せて機材や物販を積んで仙台へ出発しまして、夜、ライブハウスでライブやって。翌日の午前中のうちには三崎に着かないといけないなあなんて思いながら、仙台を出発したときはまだ元気いっぱいだったんですが、深夜3時を過ぎる頃には疲労と眠気でさすがに厳しくなって来たのです。

真っ暗で景色の変わらない東北自動車道。
1枚のCDを何周もしているため、もうすっかり飽きてしまったカーステレオからの音楽。
どれだけカフェインを摂っても下がってくる瞼。

助手席のナカウチさんが時折心配して話しかけてくれるものの、全く眠気はおさまらず、太ももを叩いてみたり、首筋や頭をかきむしったり、「やー!」とか声も出しながら運転していました。

その時...突然、目に激痛が!!!

目に汗が入ったのか?
そりゃもう、一日汗水流して働いていますから、頭も顔も汗と脂でベタベタで、しかも集中して運転してますから、じんわり汗をかいてはいたんです。
ただそれは、汗が流れて目に入ったというよりも、玉ねぎを切っている時のような、嫌な感じに滲んでくる痛みだったんです。

「いてててて!!!!」

玉ねぎを切ったことがある方なら想像出来るかと思うのですが、ギューッと目を閉じないと我慢出来ない状態です。
でも高速道路を運転中ですから、目を閉じるわけにはいかないじゃないですか。
涙も出て来るなか、必死で目を開けたり閉じたりして。

もう、なんで突然こんなことになったのか理解出来ないんですよ。
その様子を見て、助手席のナカウチさんもびっくりして。
命を預けている運転手が、涙を流しながら目を閉じてるんですから当然です。

「一体どうしたんですかーっ!!!」

どうしたと言われても、僕には理由がわからない。
口をついて出て来たのは、このひとことでした。

「め、目から酸が出ました!!!」

かなりPH値きつめの酸を、僕の目自体が分泌して、自家中毒を起こしているようにしか思えなかったのでした。しかも運転中に。人間の身体に備わった何らかの機能だとしたら、冗談じゃないよ!

その後も疲れている時に長距離運転をしていると、同じように目から酸が出ることがあります。
どうしてそうなるかは、今も分からないままです。

今日の叫び:「目から酸が出ました!!」

文/イラスト 劔樹人
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