黒木メイサ、仲間由紀恵、広末涼子・・・女優たちを次々に脱皮させるNHK『ドラマ10』枠の挑戦


ドラマ『デザイナーベイビー−速水刑事、産休前の難事件−』(NHK)で、黒木メイサが女優として再評価を受けている。岡井崇の医療サスペンス小説が原作で、ノーベル賞候補の博士と元陸上選手という夫婦の赤ちゃんが病院の新生児室から連れ去られる。事件の背後に生殖医療の闇が見えてくる展開がスリリングだ。そのなかで黒木が演じる主人公は、妊娠8ヶ月でお腹の大きい刑事。庶務課に異動していたが、捜査手腕を買われて産休前に現場に駆り出されている。


黒木といえば"カッコイイ女性"役のキャスティングでは真っ先に名前が挙がる女優。映画『ルパン三世』では峰不二子を演じてアクションも見せた。だが、今回の妊婦の刑事は「頭は切れるが、体は重い」設定で、どことなくユーモラス。ネットでは「クールビューティーだけどフッと抜けていていい」「重い話だがフワッと演じてバランスが取れている」「こんな役もできる女優さんだったのか」などと好評だ。

自身も3年前に第一子を出産。撮影中は腹にスポンジを巻いているが妊娠中の体の重さをイメージしたり、「妊婦はうまく仰向けに寝られない」「電話で話していても座る」など、経験を活かした振る舞いがリアリティを出している。

このNHK『ドラマ10』枠(火曜22時〜)ではこれまでも、名のある女優に新境地に挑む場を提供してきた。前クールは仲間由紀恵主演の『美女と男子』。最近では珍しい全20回という長いスパンで、キャリアウーマンから芸能事務所マネージャー、社長と転身しながらの悪戦苦闘がリアルに描かれた。一方、仲間自身が昨年9月に結婚した状況で、劇中では家事や育児を怠るうちに夫が自分の妹と浮気して離婚が持ち上がるなど、働く主婦としての葛藤にも踏み込んだ。


遡れば、『聖女』では広末涼子が貧しさから男をたぶらかして金をせしめる役を演じ、なまめかしい色気を見せた。後に宮沢りえ主演で映画化された『紙の月』では、年齢を重ねても清純イメージの強い原田知世が1億円を横領する銀行員役に。

上戸彩も結婚後の初めての出演作となったのが、この枠の『いつか陽のあたる場所で』。良くも悪くもアイドル女優のポジションだった彼女が演じたのは、ホストに貢ぐために昏睡強盗を繰り返し、7年の服役から出所してひっそり暮らす役どころ。主演ながら地味な女性役で演技の幅を広げ、後の『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)の主婦役にも繋げている。なお、相手役は共に斎藤工だった。

視聴率的には鬼門の『ドラマ10』枠だが、こうした女優の円熟味の引き出し方は民放ではなかなかやらないもの。放送中の『デザイナーベイビー』では、そもそもお腹の大きい妊婦が主人公というのが異例だ。作品自体もよく練られて見応えのあるものが多い。ドラマ好きなら、受信料を払っている価値を見出せる枠だと思う。

文・斉藤貴志

https://youtu.be/Q6Lx-QFHgOA


https://youtu.be/V3Oq8Nf4q0Y


■参照リンク
『デザイナーベイビー−速水刑事、産休前の難事件−』公式サイト(毎週火曜よる10時から放送)
http://www.nhk.or.jp/drama10/baby/
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