「大人とV系」の関係 心理学者に聞く「V系バンギャの深層心理」【後編】


心理学を専門として大学で教鞭をとり、同時にミュージシャンとしても活動する心理学者の川島洋先生。前篇では「若い女の子がV系にハマる心理」について語っていただきましたが、後篇では知られざる「大人とV系」の関係について、たっぷりお話を聞きました!(前篇はこちら


■V系を卒業できないこと自体は、問題ではない

−−大人になってもV系にハマり続ける人たちがいるそうですが、どうすれば卒業できますか。

大人になってもV系にハマり続けていること自体は、悪いことではありません。注意したいのはその"ハマり方"です。もし普段は会社の仕事やバイトをこなしていて、その日常のストレスをV系の音楽を聴いたり、ライブに行ったりすることで解消できているなら大丈夫です。ただ「大人になって初めてV系にハマる」場合はハマりすぎないように注意が必要かもしれません。


■「自分探し」の末、30歳を超えて突然V系にハマる大人

−−「V系にハマるのは若者」というイメージですが、大人で初めてハマる人もいるのですか?

確かに存在します。特に30歳を超えた頃にハマっていく人が多いです。


−−なぜその年代に多いのでしょうか。

30歳を超えた頃というのは、心理学では「サーティーズ・クライシス」とも呼ばれ、「結婚しないといけないかな?」「今の仕事を続けていていいのかな?」というように、多くの人が立ち止まりがちな時期です。この時期に自分探しを始める人がいるのですが、この「大人の自分探し」の受け皿になることがあるのが、V系なのです。


−V系の何が「自分探しの大人」を惹きつけるのでしょうか。

V系が、青春を取り戻す良い手段になるからかもしれません。発達心理学では、児童期、思春期・青年期、成人期という発達段階ごとにクリアしないといけない「課題」があると考えます。そして、どれかの段階で課題をクリアしきれなかった人は、その段階をやり直そうとする心理的な傾向があるのです。若い子のようにメイクをしてライブ会場に行き、バンドに向かって歓声を上げる...... V系は、大人に"青春を取り戻すチャンス"を与えてくれるのではないかと思います。


「人はなぜV系にハマるのか」を前篇・後篇に渡って、存分に分析してくださった川島先生。川島先生いわく「今も昔も、V系にハマる人の精神構造は変わっていない」とのこと。川島先生直伝の「V系にハマる精神構造」を理解した上で、V系バンドの世界観を堪能してみてはいかがだろうか。



【プロフィール】
川島 洋(真奈美)
社会心理学者、大月短期大学非常勤講師、ESPミュージカルアカデミー講師、ギタリスト。研究領域は青年心理・ポピュラー音楽研究。共著に『常識力を問いなおす24の視点―時代をとらえる手がかりを得るために』などがある。その他、性同一性障害の当事者として性的マイノリティに対する理解を深めてもらうための活動も行なっている。
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