『TOO YOUNG』音楽担当の向井秀徳、クドカンとのお仕事は「部活」!?曲のオーダーは「『毎度おさわがせします』とか『パンチラ』とかキーワードで」


演劇・映画・テレビドラマとジャンルを股にかける宮藤官九郎の完全オリジナル作品『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』が6月25日より公開となる。本作で監督&脚本を務める宮藤が選んだテーマは、なんと【地獄】だ。監督自ら「死ぬのが怖くなくなる映画を作りたかった」と語るように、【地獄】にも関わらず描かれるのは、「宮藤監督ワールド炸裂」とも言えるあまりに真剣であまりにバカバカしすぎる笑いと小ネタの数々、そしてほろ苦い青春の痛みだ。そんな奇想天外な世界をよりウエットに、よりドラマチックに仕上げたのは、宮藤が絶大な信頼を抱く、音楽を担当したZAZEN BOYSの向井秀徳だ。AOLニュースでは劇伴だけでなく、主人公・長瀬智也演じるキラーK率いる、地獄専属ロックバンド「ヘルズ(地獄図)」の楽曲も多く手がけた向井に話を訊いた。


――宮藤さんとは『少年メリケンサック』『中学生円山』と続き、何度も一緒にお仕事をされていますが、今回のテーマは【地獄】ということで、監督からは具体的にどのようなオーダーがあったのですか?

宮藤さんとは長いお付き合いで、今までの宮藤さんの映画には全部参加させてもらって、その他もお芝居や歌舞伎(『大江戸りびんぐでっど』)などの音楽もやらせていただきましたが、だいたい歌舞伎にしても、私はやったことがないんですよ(笑)。自分の引き出しの中に全くないんですね。ですので、最初は「どうすればいいのか?」と思うんですが、宮藤さんと話し合っていく中で「こうして行こう!」など具体的には決め込まず、決め込まなくても最後は上手い具合に噛みあうというか。ずっとそうしてきました。今回も同じで、宮藤さんと一緒に作っていくものに対して、私としては「間違いない」という実感がありますね。一言で言うと「ウマが合う」ってことですかね。


――実際に作業としてはどのような流れだったのですか?

今回も撮影前に必要な曲というか、映画の中で肝となる曲がたくさんあるので、それをまず用意するところから始まりましたね。例えば「天国」(作詞を宮藤が担当、監督からは『耳に残るようなメロディを作ってほしい』とリクエストを受けた)という曲が、映画の中で大きなポイントとなる曲なんですが、この曲は愛する人へ気持ちを伝えるためのラブソングなんです。

言ってみれば歌詞も非常にストレートでとてもシンプル。その歌詞をもとに曲を作るのですが、この「天国」ありきの映画になる感じだったので、「そんなドストレートなラブソングって作ったことないな~。どうすりゃいいんだ!?」と一瞬思いましたよ。それから、いろいろと自分の中で試行錯誤したんですが、単純にラブソングを歌うのが恥ずかしいとか照れるとか、そういう風になるのかなと思ったんですけど、非常に純粋な気持ちでラブソングを作ることができたんです。自分の中で照れなく作ることができ、この気持ちがとても重要で、そこから作業を始めることができました。


――長瀬智也さんが、「監督は音楽のことを芝居で例えたり、芝居のことを音楽で例えたりする」と独特の言い方で演出されると仰っていたのですが、向井さんの場合はどうですか?

このシーンにどういう「音」を流すか。これはもう毎度の事で、そこに具体的な注文っていうのがないんですね(笑)。あるとしたらキーワードで、『毎度おさわがせします』とか『パンチラ』とか(笑)。そのキーワードはよく出てきますね。撮影前に作った曲はシナリオと歌詞だけで作りましたが、撮影が始まって、撮影済みの映像を観て、そこから作っていくというパターンももちろんありました。



――曲作りにおいて、今回こだわったところはどういうところでしょうか?

今回の作品は、いわゆる【地獄の世界】と【現世の世界】が2つに分かれているんです。全く別世界なので、その違いを分かり易くしなければいけない。【地獄】ではおどろおどろしい和太鼓を取り入れたり、【現世】では胸キュン青春ムービー的な、『パンツの穴』的な(笑)。高校生の青春ストーリーなので、それに寄り添うアコギの綺麗な音や、シンセサイザーのキラキラとした音など、そういう音を取り入れました。


――完成した映画でキラーKの歌を聞いて、良い意味で予想を裏切られたようなことはありましたか?

「天国」は、自分で歌ったデモを渡しているんですが、キラーKさん(長瀬智也)がその歌を完コピしてくださって。私は、自分のクセで歌ったりする部分があるんですけど、それを非常に良いかたち忠実に歌ってくださってね(笑)。


――完コピはなかなか難しいですよね?

難しいですよ。私は歌クセがものすごくあるので、それをイイ調子でやってくれてとても嬉しかったですね。


――『スーサイド』という楽曲について、「軽音楽部の高校生がオリジナル曲を作るならどんな曲になるだろう?と想像しながら作りました」と語っていますが、ご自身も中学時代からギターをやっているということもあり、その時の感情が今回の曲作りに投影されるようなことはありましたか?

ありました。曲の作り方が分からないので、自分が知っている限りのコードで何となく作ろうとするんですが、自分の中に確固たる軸を持っていないと、ブレブレで上っ面な曲が出来上がってくると思うんですね。そういう部分を大事にしましたね(笑)。


――でも・・・それは完成させたくなりませんか?

完成させてはいけないんです(笑)。上っ面具合を意識しました。


――ちなみにご自身の中学時代に作った楽曲はどんな感じでしたか?

「こんな曲を作りたい」「あんな曲を作りたい」というよりは、まずは曲っぽくなれば嬉しい、みたいな。そういう無邪気なものだったので。歌詞、どこかで聞いたことがあるような歌詞とかで作っていましたね。


――改めて宮藤さんの作品の魅力はどんなところにあると思いますか?

宮藤さんの作品で私が好きな部分というか、作品の良さというものは、宮藤さんの脳内ですごいスピード感で回転しているドライブ感みたいなものが、作品を観ている人に伝わるところなんです。その気持ち良さというか、時には全然ついていけないところもあるのですが、宮藤さんのテンションが作品のいろんなところに滲み出てきて、そのテンションが直に伝わってくるところがとても気持ち良いですね。


――ちなみに宮藤さんとのお仕事を端的に表すとしたら?

うーん......、、部活。

――

一応宮藤さんが先輩なんでね(笑)。同級生じゃないので(笑)。


『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』は6月25日より全国公開
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■参照リンク
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』公式サイト
http://tooyoungtodie.jp/

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