ダンディな顔つきの武田信玄と歴史観がファンタジーすぎる愛すべきクソゲー『武田信玄2』(1988/ホットビイ)


【ファミカセクロニクル~愛すべきクソゲー列伝~】


一般に、歴史ゲームファンの諸兄が『武田信玄2』というタイトルを聞くと、以前、カナダのMagitech社が送り出した、異色ながらも妙に完成度の高い"逆輸入戦国ゲー"とも言うべき『武田信玄2』(原題:『Takeda2』、2005)を思い浮かべる人もいるかもしれないかもしれないが、今回ご紹介するのはその『Takeda2』の制作にあたり、ほぼ確実に何の影響も与えなかったであろうファミコンゲーム『武田信玄2』(1988/ホットビイ)だ。


タイトルからもわかるように、発売年に放送された同名の大河ドラマから勝手にインスパイアされ、ある種の便乗商法的に制作されたと思しき前作『武田信玄』(※アーケードおよびPCエンジン版で登場し、武田信玄が単身で敵を斬っていくだけの別クソゲー@ジャレコとは別作品)の後継ソフトとして、なぜか満を持して登場してしまったこのゲーム、基本的には戦略モノであるが、どちらかと言うと、後に大作として進化し続けていくこととなる光栄の『信長の野望』シリーズ(FCの初出は『信長の野望 戦国群雄伝』)よりも、ナムコの『独眼竜政宗』(1988)のような、ポップなテイストの戦国モノである。


しかし、信玄の軍師として知られる山本勘助を彷彿とさせる「かんすけ」が死ぬと、その子を自称する「きんすけ」なる謎の人物が勝手に軍師となってしまったり、史実では朝倉家や一向一揆の拠点となっていた北陸方面の戦線で、なぜか李氏朝鮮軍と思しき無双系の部隊がこれまた勝手に上陸、既に領地化されてしまっていたり、その歴史観は"ポップ"を超えてもはや"ファンタジー"なレベルに。戦国ファンからすれば実にタマったものではないような、なかなかのクソゲーなのだ。「武田幕府、実現させてはくれまいか。」...土台無理な話である。

しかも、困ったことにこのゲーム、パッケージだけ、やたらと気合が入っており、若き日のショーン・コネリーを彷彿とさせる実にダンディな顔つきの武田信玄が、精緻なタッチで描かれているなど、当時の消費者にあらぬ期待を持たせる工夫が随所に感じられるという点も見逃せない。とはいえ、『スカイデストロイヤー』(1985/タイトー)をはじめ、この手の写実的な箱絵を特徴とするゲームには、信じられないほどのクソゲーが多数紛れ込んでいることもまた事実。やはりいつの時代も、そのパッと見の印象だけで飛びつくのは、あからさまにリスキーな行為だと言わざるを得ないだろう。

文・新劇シルバー

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