批評家絶賛の海ドラ『MR.ROBOT』監督が自信を語る! 「IT業界をリアルに表現するという課題を達成できた」


第73回ゴールデングローブ賞のテレビドラマ部門において作品賞を受賞、9月18日(現地時間)に授賞式が行われる第68回エミー賞においてもドラマシリーズ部門の作品賞にノミネート、アメリカの辛口レビューサイト「Rotten Tomatoes」では、"98%"と批評家から高い支持を受けるサスペンス・ドラマ 『MR.ROBOT/ミスター・ロボット』。「アンチヒーローの時代に、異なる視覚言語やストーリーを語るスタイルが可能だとクリエイターたちに示す、最も重要なテレビ番組の一つだと言えるだろう」(RogerEbert.com)という高い評価を受ける本作は、サイバーセキュリティー会社でエンジニアとして働く若者、エリオット・オルダーソン(ラミ・マレック)を軸とした物語だ。エリオットは、ハッカーで構成される地下組織"f・ソサエティ"の謎めいたリーダー"ミスター・ロボット(クリスチャン・スレイター)"にスカウトされ、彼らの活動に関わっていく。

エリオット(ラミ・マレック)、"ミスター・ロボット(クリスチャン・スレイター)"

現在、Amazonプライム・ビデオにて、シーズン1、2ともに見放題独占配信中の本作。シーズン2では、本作の企画者でありシーズン1の製作・脚本を担当したサム・エスマイルが全12話の監督を務めている。この度、そんなエスマイル監督が本作の製作やシーズン2の見どころについて語るインタビューが到着した。

サム・エスマイル

——『ミスター・ロボット』はどのようにして生まれたのですか?

僕は若い頃、すごいIT系オタクだったんだ。ずっとその文化に魅力を感じていたので、映画監督として、そして脚本家として、それを題材にした映画やテレビ番組を開拓してみたくて...。あまり語られることのないこの文化について語りたいという僕の熱意が、またとないタイミングで実現したんだ。

——当初、長編映画を想定して作られたそうですね。テレビドラマだと考え直したのはなぜですか?

僕がくどい人間だからだよ(笑)。長編映画として脚本を書き始めたんだけど、90ページくらい書いて、第一幕の半分にも行っていないことに気付いたんだ。当時、僕のマネージャーであるアノニマス・コンテント社のチャド・ハミルトンたちが製作した『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』(2014年HBO)の放送が始まった。僕はそのドラマが大好きだったから、自然な流れで『ミスター・ロボット』もテレビドラマシリーズにしようと思ったんだ。

——放送に漕ぎつけるまでは大変でしたか?

テレビの仕事をしたことがなかったので、業界のことが何もわからなかったんだよ。だから、この番組は長い劇場用映画だというつもりで脚本を書き、撮影したんだ。それが、シーズン2に入って、自分で全エピソードを監督することにした理由だよ。ただ単に、そうした方が僕の映画製作者としての考え方にフィットするから...。変な話だけど、USAネットワークは、そんなすべてに価値を見出してくれたんだと思う。

僕はまだ今でも、なぜ彼らが僕を信頼してくれたかわからないんだ。テレビ番組を仕切ったことのない男に、3エピソードの監督と、5エピソードの脚本を任せるなんて。そのうえ、こんな奇妙で、異様ともいえる型破りな番組だよ? 実際のところ、彼らは単に題材を気に入って、応援したいと思ってくれたんだろうね。とても勇気のいることだったと思うし、彼らにはとても感謝しているよ!

——本作が放送されて一番嬉しかったのはどんなことですか?

正直なところ、尊敬する本物のハッカーやIT業界の人たちから、この作品が好きだというだけではなく、細部に至る正確な描写を評価するコメントをもらったことだ。最高の達成感だね!ハッキングやコンピューター・テクノロジーを扱ったドラマや映画をたくさん観て育って、その点はかなりストレスだったから(笑)。そういう映画の大半は本当にありきたりで題材を殺すものになってしまう。だから、IT業界をリアルに表現するという課題を『ミスター・ロボット』で達成できてうれしいよ。


——ドラマの舞台はハッカーの世界です。ご自身はいいハッカーですか?ニューヨーク大学在学中に問題を起こしたことがあるとのことですが...。

ハッカーとしては全然ダメだね。努力したんだけど。プログラマーとしてもひどかった。忍耐力に欠けるらしい...。ニューヨーク大学在学中に、コンピューター研究室でアルバイトをしていたんだけど、当時のガールフレンドのEメールをハッキングしてね... ただ彼女を驚かせたかっただけなんだけど、IPアドレスをたどられていとも簡単に捕まってしまった。仮進級を食らってバイトもクビになったよ(笑)。

——シーズン1にはヒッチコックみたいな感じでカメオ出演されていたようですね。

シーズン1では通行人役でヒッチコック気分を味わったよ!

——シーズン1の何話に遡って探せばいいでしょう?

パイロット版を見たらいいんじゃないかな(笑)。


——新シーズンの見どころは?

シーズン2は、シーズン1とはかなり違うものになる。「同じものは期待しないで」と言っておくよ。ストーリーが別のステージに移るんだ。さっきもこのドラマは長編映画だと言ったでしょ? そう考えるなら、その比較は映画の最初の30分と次の30分を比べるようなものだ。このふたつを比べることなんてできない。

だけど今シーズンの特徴として挙げられるのは、キャストのアンサンブル性だね。シーズン1の最後に悪魔コープのハッキングという爆弾が落とされ、登場人物たちは今、全員が散り散りになっている。だから今シーズンは、それほどエリオットの一人称だけでは展開しない。さまざまなストーリーラインを広げて、それらがどのように交差し、ぶつかり合うかが描かれるんだ。

——シーズン2は全エピソードをご自分で監督なさるんですよね!

僕は、ストーリーの伝え方に関しては、ビジュアル面にとても思い入れがあるんだ。だから純粋にクリエイティブな視点から、自分で全エピソードを監督した方がしっくりくると思った。それに製作的な視点でも、いろんなことを効率化できたと思う。このストーリーには映画的なタッチがあるから、同じロケ地をエピソードをまたいでそこまで何度も使わない。だから製作の立場からすれば、ひとつのロケ地に行った時にはシーズン内の3エピソードの撮影をいっぺんに済ませてしまうほうが、従来のテレビのやり方よりも合理的だったんだ。


——『ミスター・ロボット』は何シーズンを予定されていますか?

そうだね...。長編映画を想定してこのストーリーを書き始めた時に、エンディングが頭にあったんだが、テレビシリーズになった今でも、まだそれでいこうと思ってる。たぶん、4~5シーズンになるんじゃないかな。

——ストーリーが向かう結末は既に決まっていますか?

もう全部のエピソードの内容を考えたかって? とんでもない! だからこそ素晴らしい脚本家たちと、隅々までディテールを詰めてるんだからね。でもポイントとなる展開は大体頭の中に出来上がっていると言っておこう。



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