障害と捉えないで、チャンスと捉えよう(リチャード・ブランソン)

ビジネス業界 (やよくあるクイズ番組) の神話の一つに、チャンスは訪れるもの、というものがある。チャンスはあなたの家のドアをノックしたりはしない。あなたが中に入れるまで自分でドアをしつこく叩き続けなければいけないのだ。

もう一つの嘘は、障害物の中には克服できないものがあるということだ。適切な態度と努力、そして少しの運があれば不可能なものなどない。障害物を定義すると、「道を妨げるもの、または前進を阻んだり、または妨害したりもの」となる。この考え方を180度転換して、障害物のことを、発見されることを待っているチャンスと考えてみてはどうだろう。

障害物をチャンスに転換することにかけては、トマス・エジソンが熟知していた。彼の発明の才能の中にもそのことが見て取れるが、挫折から立ち直る方法や、障害物と認識されるべきものを脇へ押しやったその方法の中にも見ることができる。彼が60代後半だった時、ニュージャージー州のウェストオレンジ・エジソン研究所が全焼してしまった。エジソンは自らの不運を嘆いてパニック状態になってしまうかわりに、家族や友人を集めてその火事を感嘆し、すぐに未来の計画を立て始めた。

エジソンはこの災難によってもたらされた改善点の可能性に着目し、以前よりずっと改善された研究所の再建の計画を立て始めた。エジソンはこう語っている。「いつでも災難の中から何か有益なものを見つけることができるものだ。私たちは古くさいガラクタを一掃したに過ぎないのだよ!この廃墟の上に、ずっと大きくていい物を築こう」どんな状況の中にもいい点を見つけることができるし、素晴らしいチャンスとは普通、瓦礫の下に隠れているものだ。

中には圧倒されそうな障害物もある。違った視点から物事を捉え、最悪の状況に光を射してくれるような優れた人たちの中に自分を置いてみると手助けとなるだろう。あなたにとって不可能と思われることが、他の誰かにとってはやりがいのあるチャレンジとなるかもしれない。それと同じく何か別の問題があるときは、他の人たちを助けてあげることができるかもしれない。しかるべき時が来たら、自分が持っているスキルを出し合い、協力する。そうすることでさらに多くを手に入れることができるだろう。

もっと大規模な状況においても、最も思いがけない状況の中でチャンスを見つけることができる。最近、私のエアライン会社のスタッフが引き起こした事例は、私を誇らしい気持ちにしてくれた。悪天候のために遅れたフライトがあって、もちろん乗客がイライラしてもおかしくはなかった。肝の据わったスタッフが数人いて、この状況を障害として考えるかわりに、ちょっと楽しむチャンスがあることに気が付いた。このスタッフは「空港オリンピック」なるものを手早く開催し、ただ座って退屈しているよりは紙飛行機飛ばし大会に参加しませんか、と当社のお客様に勧めたんだ。ちょっとした競争心を湧き起こらせるだけじゃなく、みんなの顔を笑顔にするチャンスに飛びついたのだ。障害物を克服するのは大変な仕事だ。特に事業を始める時は、問題が信じられないくらいあっという間に積み重なってしまうものだ。初期に起こりがちな問題に気を落とさず、また問題全部に押し潰されることなく、問題を一つ一つ個別に解決していくことで決定的な違いが出てくる。一生懸命に努力することに変えられるものはないけど、長期的な視点に立つためには時間をかけてじっくり考える必要もある。今、目の前にある特定の障害物という泥沼に落ち込んでしまっていたら、チャンスは通り過ぎて行ってしまうだろう。

チャンスをつかみ取ることも、楽な仕事じゃない。チャンスというものは、プレゼント用包装されて店の棚に並んで買われるのを待っているわけではないからだ。また、例のエジソンの格言でこういうものがある。「チャンスは、作業着を着こんでいてあたかも苦役のようにみえるために、ほとんどの人たちは見逃してしまっている」しかし、チャンスをつかみ取って、あるアイディアを実現することほど満足感の得られるものはない。人類が得た功績の中でも優れたもののほとんどが、解決が困難な問題として始まり、クリエイティブで決意の固い人たちによって偉業として成し遂げられてきている。

こういった人々は単に障害物を克服するだけではなく、それらを障害物としては捉えていないのだ。彼らは、あらゆる人、あらゆる状況の中に可能性をみる。チャンスを探し始めると、どれだけ多くのチャンスがあるか驚くだろう。このようにしてバージン・グループがこれほどまでに様々な分野やマーケットに広がったのだ。チャンスはそこにあるのだから、つかまえてみてはどうだろう?

(原文:Don't See Obstacles, See Opportunities )
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リチャード・ブランソン
ヴァージン・グループ創設者
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