科学、究極のフロンティア(リチャード・ブランソン)

キャリアを通じて私はいつも、イノベーションを使って世界の問題を解決する人類の力を強く信じてきた。現在、イノベーションの最大分野の多くは科学的研究と開発によって動かされている。

不確かな混乱の多い時代だが、協力して頭脳と想像力を使えば、地球温暖化を遅らせたり、再生可能エネルギーを発見して導入したり、環境に悪影響を与えずに長距離を安全にかつ速く移動したり、宇宙や海の深奥を探索したりなど、難問を解決し、大発見へと導いてくれることは確かだ。

しかしすでに多くの課題を抱えているこの世の中でこれに集中するのは難しい。国々の経済があえぎ、貧富の差が広がり、気候変動の脅威に直面している。直さなければならないことはとても多い。ではなぜ宇宙旅行に大変革をもたらそうとしている私たちの会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic) のようなものに投資する必要があるのか?



宇宙探索とそれに関連した技術の開発を続けることは人類生存に不可欠だ。天候パターンやその影響の変化を観測する人工衛星は、気候変動や人口過剰によってもたらされる問題を、責任を持って克服する役に立つ。宇宙ベースのナビゲーションは世界経済を支え、さらに宇宙ベースの衛星中継は特に緊急時などのグローバル通信を可能にする。いつか、私たちは宇宙を通って地球の一方の側から反対側に、一時間ほどで、清潔に、安全に、手頃な価格で、人や物を運搬できるようになる。

産業の多くは現代の世界に適応するため、過去50年で非常に大きく変化してきた。ただし宇宙旅行以外の分野で。一つのシャトルを打ち上げるには$10億かかる。たった400ポンドの人工衛星(洗濯機の大きさ)を打ち上げるにも最低$3000万はかかる。個人が宇宙を旅行するには$6000万以上。これは安全性、信頼性、頻度、環境影響の課題に加えて、商業目的に宇宙を利用する可能性を制限している。


しかしこれらの障害をよそに、 ヴァージン・ギャラクティックの宇宙ベンチャーの少人数グループは新しい宇宙時代を推し進めている。スペースX社のCEOであり最高技術責任者であるイーロン・マスク氏は、国際宇宙ステーションへの往復の経済性に革命を起こす可能性を持つ、新しい地上ベースロケットを開発している。ポール・アレンは最近、バート・ルータンと提携会社スケールド・コンポジッツと協力して、宇宙に空中発射する史上最大の航空機を作る、ストラトローンチ計画を発表した。

この民間の宇宙革命はペースを上げている。運営から初めの数年のうちに、すでに500人近くの客を集めたヴァージン・ギャラクティックは、宇宙旅行開始から50年間で宇宙に行った人数を超える観光客を宇宙空間に送り込もうとしている。これらのビジョンを持った個人の事前の投資は、より速く、そしてより環境に優しい方法で乗客や貨物を宇宙に送り込み、そしてゆくゆくは大陸間チケットを導入する未来の技術を開発する助けになる。


毎日私たちは科学に投資するリスクと責任を負っている。報酬は長い目で見なくてはならないが、実に目の前で起こるものもある。4月にヴァージン・アメリカのサンフランシスコに開設した新しいターミナルのお祝いにKIPP(Knowledge Is Power Program、知識は力なりプログラム)学校の生徒たちを招待した。ヴァージン・ギャラクティックの新しい航空機が、サンフランシスコ湾を越えて空中に飛び立つ光景を目に息をのむ子供たちの反応は、私たちの仕事に若者たちを含む大切さを思い出させてくれた。宇宙旅行は彼らの世代に可能になるということ、そして彼らも参加すべきだと示すことを。私たちは若者の新世代に科学や工学、技術と数学の教育とキャリアを追求するよう刺激している。未来の問題を解決する重要なスキルだ。

宇宙旅行はSFものとか遠い将来に起こるかもしれないものじゃない。宇宙観光は金持ちの遊びの言い訳のように思えるかもしれない。しかし現実は多くの改革と発見につながる、より安全で安く、環境に優しい宇宙旅行を開発する新しく重要な民間セクターの産業のスタートだ。これら全てをするには、もっと科学に携わる人々や仕事についての意見が必要だ。みんなにぜひ高望みして参加してほしい!
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